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3229.幸
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2 :
阿近
2013/05/05(日)03:55:03
あまりに月日が経ちすぎて記憶が混濁していやがるが、アイツと過ごした愛しかった時間を少しずつでも思い出せたらっつー想い(願い)を込めて殊勝にしたためる。
さて、アイツと初めて出逢ったのはいつだったか……運命的なモノを感じた日を忘れちまうなんて本末転倒、だが、アイツを見た瞬間の感情は今でも忘れちゃいねェ。忘れるワケがねェ。…マジで一目惚れだったしな。
季節は確か春先―――…いや、とっくに散っていいハズの桜が満開でメチャクチャ綺麗だった記憶がある。
きっと、多分、恐らく、五月の半ば。
日付が変わって数時間くらいだったか?
あン時の俺は眠れねェからって其処らをフラフラしてたんだ。
睡魔の野郎が降臨なされるまで暇を潰せる相手を探してた。
だが、残念な事に誰も居やしねェ。
九割がた諦めていたが、最後に寄った例の場所。…そこにアイツが居た。
夜桜に月明かり――…このシチュエーションの効果もあってか、ヤケに綺麗に見えたんだよな。
女神でも降りてきたんじゃねェかってよ、そりゃあ自分の目を疑ったさ。
まァ、実際居たのは普通の人間だったワケだが。
直ぐに声はかけなかった、いや、かけられなかった。
俺がヘタレだとかそんな理由じゃねェ、見ていたかったんだ、アイツを。
だが、いつまでもそのままで居たら不審者扱いされちまうし、何より暇を潰せる相手を漸く見付けた。
声をかけなきゃ意味無ェし、この好機を逃したら二度と巡って来ねェだろうと奮い立った。
で、話してみると第一印象とは真逆。
綺麗っつーよりは…まァ、何だ。
男のクセに可愛い奴だなと。
そのギャップも俺の心を擽るには十分な要素だったが、な。
会話の内容を詳細に思い出せねェのが悔やまれるが、アホだの何だの小馬鹿にしてたのは覚えてる。
いや、面白かったんだよリアクションが。
睡魔さえ来なけりゃずっと話していたかった、そんくらい最高の時間だった。
欲していたハズの睡魔が憎いなんてな、我が儘にも程があるっつーの。
――――――――――――
さ、今日は此処までだ。
結構思い出せるじゃねェか、あぁ良かった。
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