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3402.能わぬ脳髄
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24 :ザエルアポロ・グランツ
2016/06/23(木)21:43:29

眼鏡を通して視る世界こそ脳髄の渾てで在り、脳髄に世界を映し出す事こそ眼鏡の本懐。
肉体とは謂わば自身の世界を弔う為の柩。
外界から齎された眼鏡は墓標。
匣に鎖された脳髄は蓋を開けない限り存在の証明さえ儘為らない物体でしか無い。

『ヒト』を『ヒト』たらしめる要素の一ツに《智恵》を挙げるので有れば、世界をより明瞭に映し出す事に意義を持つ眼鏡こそが僕を一番《ヒトらしく》視せる物なのかも知れない。

――と謂う所まで脳髄と眼鏡の何方に僕としての本質が有るだろうかと真面目に考えて仕舞った。
其の結果『眼鏡』に落ち着くのは解せない。否、僕自身で出した一ツの結論では有るんだが。


──────────


詰まる所肉体は眼鏡の為だけに其処に介在し、僕が散散喚く音声は僕自身では無く眼鏡の意思で有り意識だと謂う事に為る訳だ。
(眼鏡掛け――ビト?付ける可き名称に悩む)
何なら君も掛けてみるかい、僕の気分が味わえるのだろう急度。生が終わる瞬間よりも貴い事だろう?意識が別のモノにフェードして掏り替わって往く、と謂うのは。



眼鏡が本体だとして、涅マユリの背なに吐き捨てる悪態を微動する眼鏡が・なんて面白い発想を聴かされて仕舞うと、脳髄と眼鏡の何方を取るか考えに考えた僕が本当に阿呆みたいだ。
其れより涅マユリが『格好良く』、と謂われると僕としてはかなり悔しい。


否逆に真面目に考えた僕が恥ずかし――おい気色悪いって何だ、思わず変な息が漏れた。


──────────


然し本質が眼鏡だとすると《僕と謂う存在》は非常に簡単に潰せるし壊せると謂う事に為る。

だがまァ眼鏡なんて本来マスプロダクションされる物だし然う謂う意味では簡単には無くならない――のだろうか。

けれど然う為ると『僕』はヒトとしての個性は無いも同然?
其れとも本体が眼鏡ならば掛けた肉体の本質を乗っ取る時点で異形?


散散謂って来て何だが、僕の本質は最早『眼鏡』と謂う結論に至って仕舞って居るのだろうか?

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