夢のうつつの

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┗611.夢のうつつの(57-61/66)

57 :阿近
2011/03/05（土）07:01:05

片や、連絡を取ることさえ罵倒され拒否されるだろうと怯えて、
片や、満たしてやれないまま手の中から逃がしちまったことに負い目を感じていて、

まるで、互いが絶対に手に入らない存在だと思い込んでた、あの頃みてぇだ。

手を伸ばせば傷を深めちまうんじゃねぇかって。
もっとこじらせて、嫌な思いをさせるんじゃねぇかって。

びくつきながら距離を取る、
これが、結局は正しい選択なんだろうか。

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58 :阿近
2011/03/08（火）23:33:46

妙に尻の坐りが悪く
ごつごつ痛ぇと思ったら
下脚も前に比べて随分痩せて来ているようだ。

膝蓋骨と腓骨の境目がはっきり浮き出て
関節を外すのも容易そうだとぼんやり思う。
きっと、俺を殺した後の死体処理は楽だろう。
脂も少ない、血も少ない、骨に刃物を立て易い。

そもそも、脚が枯木みてぇになっても
不利益が有るかっつうと、思い付かねぇ。
見目を気にする女じゃ有るまいし
元々健脚とは程遠い。

最近は研究室から出なくてもおおよその生活が事足りるので
いちいち鍛え直すのもめんどくせぇ。

此処には何でも有る。
蜥蜴も蛇も、魚も蟲も、
凍えなくても済む寝床と、生命維持に必要な水分と熱量も。

足りないものは何も無い。
外に出なきゃなんねぇ理由は何も無い。

外にもし何かが有るとしても、
それの首根っこを掴んで部屋に引っ張り込んで
閉じ込めて二度と逃がさなけりゃいい。

満ち足りて
長く一声、

ぅなあぁあおぉう。

なぁこれ、夢じゃねぇよな？
それとも、目が霞むのは夢だからか？
夢なんだから、期待なんかするなって
誰か教えてくれないと解んねぇ。
一から自分を造り直したい。
細胞の新陳代謝と記憶の剥落感情の鈍化。
それがいい。
最初から俺じゃないものになれば良かった。

よく見ると、やっぱり此処には要らないものが多い。
要らねぇものは屑籠へ。
要らねぇ鬼も屑籠へ。
……ん、じゃあもしかして、この研究室自体が屑籠なのか。
道理で腐臭がする訳だ。
お、もいで、を、汚いモンで上書きすんのは申し訳ないと思ってる。
ごめんな。
おやすみ。

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59 :阿近
2011/03/11（金）02:07:39

鎮痛に対し、接吻一回はモルヒネの十倍の効果がある。

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60 :阿近
2011/03/11（金）02:30:46

耳鳴りと、首筋の鈍痛。
照明が目に痛い。
左右交互のちらつき。
知らない内に出来た痣。
爪の根元の血の塊。
指を擦る音さえ大きく、怖い。
天井近くにぶら下がる幻覚。
女の断末魔が何も無い方向から響く。
青い血管を皮膚の中から掘り返す。

それでも頭の中は凪いでいる。
誤摩化されていたものが全てはっきり見えるようになった、
ただそれだけのこと。
寄り掛かっていた軸が外れて自立することになった。
ただそれだけの。

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61 :阿近
2011/04/16（土）08:21:41

断ち切るのは決して楽じゃねぇが
暫く時間を置くのは良いこと、の、筈。

話しても話しても伝わらねぇなら、少し冷静にならねぇとな。

でもやっぱり、生まれた時から一緒に居た分だけ
少し、寒い。

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