オレが知らねえアイツの一部分を垣間見る機会は大抵アイツがポロリと自分から話す時に限る。嫌なら頑として口を開かねえ性格の奴がわざわざ話題に出すって事はそういう事なんだろうと耳を傾けたら、終始恐る恐るしてっから思わず笑っちまった。 交友関係についてとやかく言うつもりは一切ねえ。一から十まで把握してなきゃ不安がる程ガキでもねえし、外での交流で発散出来るモンもあれば何か収穫もあるかも知んねー。そういうチャンスは掴んでなんぼだろ。あとは信頼してるってのもある。 良く言えば寛容、悪く言えば放任になんのか。別に放ってるつもりはねえ。自由を奪う気がねえだけで。 ただ関係性が関係性だからアイツが気にするのはわかる。そりゃ正直なところ全く気にしなくはねーが、そこも信頼してるから深く追求するつもりがねえっつーかなんつーか。興味ねえ訳じゃねーけど首を突っ込む気はねえっつーか。やましいことがねえならふーんとしか言えねーし言わねー。 向こうが会ってみてえって言ってた話を聞いて思ったことは、オレと会って何が話してえんだっつう疑問ぐらいで別に抵抗云々は全くなかった。マジで何話してえんだよ、謎でしかねえ。大した事話してねえってアイツ一体何話したんだ。謎でしかねえ。(二回目) 万が一昔話でマウント取られたら売られた喧嘩は買うしかねえしどう張り合ってやろうかとか無駄に考えちまうよな。会う前からアイツの前に立って威嚇モード全開な気分ではある、が、それは誇張表現なだけで実際張り合うなら砂糖ボロボロ吐き出してここぞとばかりに惚気まくってやる魂胆しかねえ。いつでも来やがれ。来なくてもいいけど。 そんな感じで知りもしねーアイツのダチップルへの謎の対抗意識で脳内臨戦態勢になり、勢いで面まで整えちまった。 アイツに使ってみたいかって聞かれてもむず痒いっつうか、面が違うだけでハジメマシテな気分になりそうだったから変な返事になった。 しょうがねーじゃん、あの面使うってなったら気分は警戒&臨戦態勢になりそうだもんよ。大人だから態度には出さねーけど逆毛立ててるイメージ。いや態度に出さねえ自信はねえ、オレだから。でも面が変わったアイツとアイツのダチップルを前にしていつも通りで居られるのかって考えたら借りてきた猫みてえになりそうな気がしなくもねえ。結局その場になんなきゃわかんねえ。考えるだけ無駄だった。 そんな事をグダグダ考えた一日。寝る。 |