生徒の前ではしゃっきりした大人にならなってかっこつけとるわけやけど(授業中はまーそれがガッタガタんなっとるが)簓の前ではしょーもないひとりの男になってまうわけで。
きらっきらと無駄に周辺を照らすお日さんみたいなあいつを目の前にすると、自分の情けない部分やとか…所謂影の部分が色濃く浮き出る。嫌でも「簓は特別」で「俺はその他大勢」なんやと思い知らされる。(それについては納得しとるし、今更喚き散らすでもなんでもあらへんのやけど。)

ぽろっと漏れ出た不安…いや、芽吹いとらん種みたいなもん。それを見逃さずにあいつは拾って、なんて言うたと思う？
>『お前が！！いっちゃん！！最高にサイコやで！！！！』
………いやおもんないし、ちゅーかサイコってなんやねん褒め言葉ちゃうし。何？あいつにとっては褒め言葉かなんか知らんけど！…しょーもな、って鼻を鳴らした後、ふと心が軽なっとんのに気づいて、ほんの少しだけ悔しくなった。