※必読規約
※文字色一覧 □white □white2 □white3 ■Black
日記作成(表紙)には
【 使用C名をフルネーム(作品名) 】を使用してください。
】サイト移転・規約改正のお知らせ 一度上部の※必読規約からトップページへ目を通してくださいますようお願い致します。

スレ一覧
1878.PATH
 ┗20

20 :山田三郎
2020/10/07(水) 19:07



リプレイ:ゲスイット

今夜紹介するのはちょっとしたトランプゲーム。
ルールは簡単、使うのは絵柄1種類だけの13枚。今回はハートの1〜13を使った。
手順は以下の通り。

① 13枚のカードをシャッフルし、互いに6枚ずつ配る。
② 残った1枚を伏せて場に置く。
③ 交互に「はい/いいえ」で答えられる質問をし、伏せたカードが何か先に当てた方の勝ち。


あと、

・質問できる回数は3回まで。
・質問には正直に答えなければならない。
・場のカードを当てられるタイミングは、相手の質問に答えた後のみ。

って補足も付けておくね。

トランプの「ゲスイット」ってゲームを少しだけカスタマイズしたもの。昨晩毒島と遊んで盛り上がったから、リプレイに書き起こしておこうと思って。
スイッチも使うしスマホのゲームもやるけど、やっぱり膝を突き合わせて実際にカードを使うのが一番楽しいよね。目の前に相手がいるから、微妙な表情の動きとか、目線とか、色々観察できる。……観察って名目で堂々と見つめていられるし。
頭を使って戦略を考えてる時の毒島は、普段以上に真剣な顔してて、その。魅力的。なんだよね。色々考えを巡らせながら、どうやって僕を打ち負かそうか思案してる毒島を見るのは好きなんだ。なんて言うか……ゾクゾクする。そうして張り巡らされた戦略を覆す瞬間が一番好き。って、ちょっと過激かな?
さあ、前置きはこの辺りで終わりにしよう。


───────────────


それじゃゲーム開始だ。毒島が慣れた手つきでカードを切って、公平に6枚ずつ配ってくれた。
僕の持ち札は

2,4,5,8,9,12

だよ。
つまり、場に伏せられたカードはこれ以外の7枚のどれか。ここまではOK?
それじゃ、今から毒島に「はい/いいえ」で答えられる質問をしていこう。


<僕から毒島への質問①>
お前の手持ちに、8以上のカードは3枚ある?
→はい

と、こんな感じで相手に質問をしていくんだ。
8以上のカードで僕が持っていないのは3枚。その全部を毒島が持ってるってことだから、向こうの手持ちはこんな感じになる。

毒島:◯,◯,◯,10,11,13

ちなみに8以上にしたのは13枚のちょうど真ん中だから、かな。10以上、とか2以上、とか変に偏らせるとアテが外れた時に当てづらくなるからね。
なかなか頭を使うだろ?

<毒島から僕への質問①>
貴殿の手持ちに、7以下のカードは4枚あるか?
→いいえ

次は相手が質問する番。
これは僕からの質問①と同じ想定だね、毒島の手持ちに7以下のカードが3枚あるんだから自然な流れだ。
ここから毒島は僕の手持ちをこんな風に予想するだろう。

三郎:◯,◯,◯,8,9,12


<僕から毒島への質問②>
4以下のカードを2枚持ってる?
→いいえ

ふふん、順調だ。僕の質問チョイスが冴え渡ってるだろ?
何故かって? 4以下のカードで向こうが持ってる可能性があるのは1と3。けど「2枚は持っていない」となると、つまり毒島の手持ちはこう。

毒島:1か3,6,7,10,11,13

質問2つで二者択一に絞れたのは大きなアドバンテージだ。
あとは次の質問で1か3か分かれば僕の勝ち。無論、次の質問で毒島が僕の手持ちをピタリと当てられたら別だけど。


<毒島から僕への質問②>
1、もしくは4のカードを所持しているか?
→はい


──この時点で僕は勝ちを確信した。

(next.→>>21




[返信][削除][編集]



[戻る][設定]

WHOCARES.JP
21 :山田三郎
2020/10/08(木) 12:35


(prev.→>>20

ゲームで勝ちを確信したときの嬉しさってのは何物にも代えがたい。だって分かるだろ? 毒島の手札はこれで確定だ。
といっても文字だけじゃ伝わらないだろうから順を追って説明するよ、ちゃんと付いてきてね。

毒島の手札は>>20で説明した2通りしかない。
まず1,6,7,10,11,13の場合、さっきの質問に「はい」って僕が答えたから向こうは僕の手持ちをこう予想するだろう。

三郎:◯,4,5,8,9,12

僕の手持ちに5があることは、一つ前の僕からの質問②で推察できるからね。長くなるから折り畳むよ、興味あったら覗く程度でいい。
説明
僕の手持ちに5が無いとすると、
三郎:1,2,4,8,9,12
って事になる。
これじゃ、僕からの質問②「4以下のカードは2枚ある?」って聞いたところで毒島の答えは「いいえ」以外に無いんだ。無意味だろ?
だから、僕からの質問②が出た時点で僕の手元には5があるって推測出来るんだよ。

ってことで、この場合は次の質問で残りの一枚を当てられれば毒島の勝ちが見える。

でも毒島の手持ちが3,6,7,10,11,13の場合、向こうは僕の手持ちが特定できない。
依然として、

三郎:◯,◯,5,8,9,12

から絞り込むことが出来ないんだ。
だって僕は1も4も持ってるかも知れないし、1だけ、または4だけ持ってるかも知れないんだから。
3回しか質問出来ないのに撹乱目的で意味のない質問をしてくるとは考えにくい。その間に僕が正解しちゃったら終わりだからね。

つまり、この時点で毒島の手持ちはすんなり予測できるんだよ。

毒島:1,6,7,10,11,13
場のカード:3

これで決まり。

と、こんな具合で答えを確信したけど、ルール通り僕が場のカードを当てられるのは「相手の質問に答えた直後」だけ。
だから、僕は次に何か質問をしなきゃいけない。しかも、相手に場のカードを悟らせないような質問を、だ。
それで、こんな質問にしてみた。


<僕から毒島への質問③>
このゲームで僕が勝ったら、あの、手を握ってもいい?

→勿論。
そう答えてきたから、もう、嬉しくてちょっとソワソワした。
何で手を?って聞かれたら、まあ、なんて言うか別にハッキリした理由はほんと別に無いんだけど、その辺はほら、別に適当にそれらしい理由を付ければいい。指先が荒れてるとか傷があるとか埃がついてるとか。別にそういうのは後回しでいいんだよ。
とにかく勝つことしか考えてなかった。僕は、それはもう意気揚々と宣言して場のカードを巡ったんだ。

僕の答え:毒島の手持ちは1,6,7,10,11,13。
場のカードは3。


そう言ってめくった場のカードは何だったと思う?



まさかの、だったんだよ。


(next.→>>22





20 :山田三郎
2020/10/07(水) 19:07



リプレイ:ゲスイット

今夜紹介するのはちょっとしたトランプゲーム。
ルールは簡単、使うのは絵柄1種類だけの13枚。今回はハートの1〜13を使った。
手順は以下の通り。

① 13枚のカードをシャッフルし、互いに6枚ずつ配る。
② 残った1枚を伏せて場に置く。
③ 交互に「はい/いいえ」で答えられる質問をし、伏せたカードが何か先に当てた方の勝ち。


あと、

・質問できる回数は3回まで。
・質問には正直に答えなければならない。
・場のカードを当てられるタイミングは、相手の質問に答えた後のみ。

って補足も付けておくね。

トランプの「ゲスイット」ってゲームを少しだけカスタマイズしたもの。昨晩毒島と遊んで盛り上がったから、リプレイに書き起こしておこうと思って。
スイッチも使うしスマホのゲームもやるけど、やっぱり膝を突き合わせて実際にカードを使うのが一番楽しいよね。目の前に相手がいるから、微妙な表情の動きとか、目線とか、色々観察できる。……観察って名目で堂々と見つめていられるし。
頭を使って戦略を考えてる時の毒島は、普段以上に真剣な顔してて、その。魅力的。なんだよね。色々考えを巡らせながら、どうやって僕を打ち負かそうか思案してる毒島を見るのは好きなんだ。なんて言うか……ゾクゾクする。そうして張り巡らされた戦略を覆す瞬間が一番好き。って、ちょっと過激かな?
さあ、前置きはこの辺りで終わりにしよう。


───────────────


それじゃゲーム開始だ。毒島が慣れた手つきでカードを切って、公平に6枚ずつ配ってくれた。
僕の持ち札は

2,4,5,8,9,12

だよ。
つまり、場に伏せられたカードはこれ以外の7枚のどれか。ここまではOK?
それじゃ、今から毒島に「はい/いいえ」で答えられる質問をしていこう。


<僕から毒島への質問①>
お前の手持ちに、8以上のカードは3枚ある?
→はい

と、こんな感じで相手に質問をしていくんだ。
8以上のカードで僕が持っていないのは3枚。その全部を毒島が持ってるってことだから、向こうの手持ちはこんな感じになる。

毒島:◯,◯,◯,10,11,13

ちなみに8以上にしたのは13枚のちょうど真ん中だから、かな。10以上、とか2以上、とか変に偏らせるとアテが外れた時に当てづらくなるからね。
なかなか頭を使うだろ?

<毒島から僕への質問①>
貴殿の手持ちに、7以下のカードは4枚あるか?
→いいえ

次は相手が質問する番。
これは僕からの質問①と同じ想定だね、毒島の手持ちに7以下のカードが3枚あるんだから自然な流れだ。
ここから毒島は僕の手持ちをこんな風に予想するだろう。

三郎:◯,◯,◯,8,9,12


<僕から毒島への質問②>
4以下のカードを2枚持ってる?
→いいえ

ふふん、順調だ。僕の質問チョイスが冴え渡ってるだろ?
何故かって? 4以下のカードで向こうが持ってる可能性があるのは1と3。けど「2枚は持っていない」となると、つまり毒島の手持ちはこう。

毒島:1か3,6,7,10,11,13

質問2つで二者択一に絞れたのは大きなアドバンテージだ。
あとは次の質問で1か3か分かれば僕の勝ち。無論、次の質問で毒島が僕の手持ちをピタリと当てられたら別だけど。


<毒島から僕への質問②>
1、もしくは4のカードを所持しているか?
→はい


──この時点で僕は勝ちを確信した。

(next.→>>21




22 :山田三郎
2020/10/09(金) 21:37


(prev.→>>21

僕の推理は完璧だったはずだ。
少しの間、訳が分からなくてきょとんとしちゃった。なんで場のカードがなのか、本気で分からなかったから。
でも何度見てもなんだよ。仕方ないからどうして騙せたのか聞いたら、毒島はあっさりこう説明してくれた。
書いたら長くなったら折り畳もう。……別に折り畳み方を知ったから嬉しくなって多用してるわけじゃないぞ。

折り畳んだ
────────────
質問②の前に毒島が予想してた僕のカードは以下の通り。

三郎:◯,◯,5,8,9,12
この◯には1,2,4のどれかが入る。

1か4を持ってるか?って聞いたところで、僕が「いいえ」と答える選択肢はない。一見してこの質問②は完全に無意味だ。
でも毒島は、僕が賢いことをよく知ってた。

僕の手持ちが1,2,5,8,9,12、もしくは2,4,5,8,9,12だったら、>>21で僕が考えたように「無意味な質問はしないはずだ」と推理して我が物顔で場のカードは3だと宣言して自滅するだろう。
僕の手持ちが1,4,5,8,9,12だったら、毒島は依然として何の情報も得られないどころか僕にだって何もメリットがない。
おかしいだろ? 理由が全然分からなくて聞いたんだ。そしたら毒島の奴、こう言ったんだよ。

意図を掴みかねた僕が怪訝そうに顔をしかめる。
その表情を見極めるつもりだった、って。

────────────


こんなの完敗だ。勝てるはずがない。僕のこと把握し過ぎだろ、コイツ。
全部見抜かれてた。おかしい、負けたのに悔しい以上に嬉しいなんて本当に間違ってる。
何かもうよく分からなくなってむずむずしてたら、あと一歩だったな、って頭をぽんぽんされた。
この子供扱いは嫌いじゃない。コイツが本気で僕を頭から子供扱いする奴じゃないことは知ってる。だから好きだ。
手を握れなかったのは、まあ、その、少しだけ、残念だけど。嫌いじゃない。
トランプゲーム、楽しかったし。目一杯頭を使ったし。負けたけど。

僕がむくれてたら、毒島は余裕の表情でこっちに片手を差し出してきて「握るか?」って聞いてきた。
勿論振り払ったよ、勝ったらって約束だったし敵に情けをかけられるのはみっともない。僕にだってプライドがあるんだ。でもそうしたら子供っぽいって呆れられたから、もう何が正解なのか分からなくなった。

その後もう一度差し出されたから、今度は素直に握ることにしたんだ。
何ていうか、この甘やかし方の絶妙なバランスが好きで堪らない。さっきまで本気で心理戦繰り広げてたくせに、このタイミングで子供みたいに甘やかしてくるのが何ていうか、うん、好きだ。こういうところが好き。

……何の話だっけ? トランプゲームのリプレイの話だったよね? という訳で、機会があったら是非どうぞ。