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1972.Corpse Reviver【〆】
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ヨルク・ビス・アエタス
2022/12/20(火) 15:02
確保/たまには真面目に書かなければならない。
背景が真面目じゃねぇ件
お前が残したいと言うから
♛ 真面目な話 ♛
そういえば俺もバイト先を変えた。これまで黒沼母君の口利きにより近所のパン屋さんで働かせていただいていたのだが、スキルアップのため刺し身にタンポポを乗せる仕事に志願し無事内定を得ることができた。
新しい仕事が決まったと報告したとき、アラヒトはハンカチがビシャビシャになるほど号泣し、ダッシュでホールケーキを買いに走ってくれた。全力疾走を耐え抜けるほど頑強でなかったケーキは切り分けることままならず箸でつつく羽目になったが、アラヒトの優しさがただただ身に沁みて嬉しかった。
だが、出勤初日にして俺は壁にぶち当る。人員の多い工場という勤務地ゆえの派閥争い…そしてその頂点に君臨するお局様なる者の存在だ。煙草を吸わん俺は必然的に非喫煙者グループに属する流れになり、グループの長たる“お局エミコ”の配下となった。
エミコの指導はひたすらに厳しかった。タンポポの配置に1ミリのズレも許されない。剣と弓を極めていなければ叱咤の連続に心折れていたかもしれないと思うほど、連日連夜、タンポポを正しいタイミングで正しい位置に置く訓練が無慈悲に繰り返された。
「──…心を燃やせ」
コンベアーを流れる刺し身の大群に不覚にも臆しそうになったとき。ふと、誰かの声がした。同時にあたたかな面影が、猛々しい焔のような毛髪が揺れる様がよぎり、朦朧としていた意識が急速に覚醒するのを感じた。
そうだ…この金髪はタンポポの色……俺は来るべくしてこの全日本刺身連合直轄北九州鮮魚加工工場第七に呼ばれた申し子…!
そこからはまさに破竹。エミコが口を挟む間もない怒涛の勢いで寸分違わぬ位置にタンポポを乗せた。乗せて、乗せて、乗せ続けた。心が燃えた瞬間だった。
そんな俺は先日工場長に任命され、今となっては部屋でひとり書類仕事ばかりしている。タンポポのトゲっとした感触と厚塗りが過ぎて夕方ひび割れるエミコのファンデーションが、時折とても懐かしく思い出される。
工場長になって数日後、エミコと会話する機会がありリップを褒められた。アラヒトにもらったチャネリの60番だと教えると、なんと彼女もチャネリの愛用者で大変話が盛り上がった。現在、毎週土曜日に2人きりでデパコス漁りに出掛ける間柄である。[
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