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1972.Corpse Reviver【〆】
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57 :
ヨルク・ビス・アエタス
2021/02/06(土) 14:53
王子とパリピのアフターファイブ
18時過ぎ。
俗世のあらゆるしがらみから解き放たれでもした気分だ。定時上がり、ただそれだけのことで、この後の時間が輝きだす。
とりあえず一杯引っ掛けよう。俺はスマホを取り出し、連絡先を…──開く前。視界の端に映り込んだ光景に目を剥いた。
会社前の広場。フードワゴンが店じまいを始めた横に、金糸が目を引く見慣れた男。
…が、うちの女子社員に集られている。あの野郎、また逆ナンされやがって。
俺は華麗に登場し、奴の肩を抱き寄せた。
「──ゴメン。こいつ、俺の彼氏なんだ。他あたって?」
必殺・悪戯っぽい低音。この技は一瞬、かのザ・ワー◯ドと同様の効果をもたらす。
「…なんてね。今日は二人で飯行くから、また今度な。いい店連れてってやるからさ♪」
スマートに奴の背を押して歩き始める。女の子達に愛想を振りまき、なんならウィンクなんか飛ばして、数歩離れる頃にはどうなるかって?もうすぐ分かる。
そう、背後で黄色い声が上がるのさ。…いささか腐臭を帯びていた気がしないでもないが。
空は暗く、冷たい風が吹き付ける。
オフホワイトのウールコートにマフラーをかけたヨルクの白い頰を、イルミネーションが照らしていた。オリーブ色がきらきらして綺麗だ。
赤く染まった鼻先。迎えに来てくれたのだ。咎める気などどこぞへ消えた。
「秘書課の子らじゃん。流石だなァ、色男。
──…で、なに食いたい?」
>まで考えた(前置き)
#相変わらずの妄想力だな。…待っていろ。
「…何課でもいい。」
いつにも増してつっけんどんにあしらう声は、嫉妬心から来るものだ。この男は見目が良い。さもそれを自覚して、上手いこと使うので質が悪い。
毎日18時には会社前広場に立っている。アラヒトが頃合いよく出てきた日は万々歳。そうでないときは、定時で上がる事務の女性を捕まえる。奴の状況を聞き出して、近隣カフェで時を待つ。
献身的?いや、違う。これは俺の暗黒面。女好きのこいつの夜遊びを徹底して阻止してやろう、そんな薄汚い執念が繰り返させる行動だ。
それにしても、食いたいもの…か。考えたとき、不意、
“ボラボラボラボラ”……頭の中で声がした。
「ボラ…──ボラが食いたい。」
俺の一言で、ボラの酢締めがある頑固オヤジ経営の居酒屋に行き先が決まった。
徒歩数分、たどり着いた全10席の隠れた名店。酔客たちが談笑し、漂う雰囲気は室温に増して暖かい。
ブラックのカシミヤコートを脱いでカウンター席に座った連れに倣い、隣の席へと腰を下ろす。
品書きを眺める横顔はシャープな輪郭が美しい。
近くの女性の視線が向くのを持ち前の険で牽制した。
#俺たちはどこへ向かっているのだろう。
>このあと?洒落たバーからのホ◯ルに決まっ<規制により削除>
>アフターファイブ、一緒に過ごしてみたかったんだ。俺のターン。
#パネルで部屋を選ぶあのホテ<規制により削除>
#お前のこちらでの暮らしぶりを覗くのは楽しみのひとつ。
ボラかあ。いーんだけど、顔に似合わねぇもん選ぶよなあ…。
大将直筆、気迫溢れる右肩上がりの品書きへと目を通す。
ふと、女性の短く怯えた声。視線を辿り察すれば。
狭い席間、伸ばした片手で金髪を引き寄せ──こつん、側頭をぶつけささめく。
「アンタのほうが綺麗だよ。」
品書きをパスして離れた。
──ややあって。ボラの酢締めとついでにカラスミ、和風ポテサラ、月見つくねの皿が並ぶ。
ひとまずビールだ。ジョッキを軽く打ち鳴らし、一息ついて。持ち上がる口角そのまま唇を開く。うちの女の子がさ、
「合コンしたいって。アンタと。」
>部屋で致して姉貴に聞き耳立てられるのはうんざりだからな…。
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