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1972.Corpse Reviver【〆】
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58 :ヨルク・ビス・アエタス
2021/02/07(日) 00:23


王子とパリピのアフターファイブ・2


してやられた顔面は酒気を帯びる前に朱に染まった。
──偶に甘くて、とても狡いんだ、こいつ。

取り繕うようジョッキを煽り、料理を取り分け、適度につつく。
再び流し込もうとしたところへ世間話の色で話題を呈され。ビール片手、思わず不満に眉根が寄った。

「行ってお前の顔を立てればいいか?」

声も刺ばむ。
本気で俺を好いていたら、その場で反故にしてくるのではないか。

可愛げがないと気づくのはいつもやってしまってからだ。
きまり悪く顔を背け、つらつらと酒量を増やす。

「……。…お前が幹事か?誰が来る。高田か。」



#えっ!?聞かれてたのか!!?…もう黒沼家には帰れない。
#今日も後ろ向きで話せ。


本当にこいつはわかりやすくて可愛らしい。

──行こうぜ、なんて言ってねぇのに。もちろんお断り済みだ。
機嫌損ねた顔もかわいいんだよなあ。これを肴にやる酒がまた美味い。
早々にジョッキを空けてオーダー。日本酒一合。
返事を焦らしつつ、並んだ猪口に注ぎ入れる。

「いいや、幹事は高田──…ぷっ、ははは!安心しろって。断ったよ。」

あいつ、恋人いるからごめんねってさ。

空きっ腹に飲んだせいだろうか。取り繕えず爆ぜてしまった。
テンションの上がり口がやけに早い。


>えっ?今日って始まったばっかじゃねぇか…。今から23時間顔見るなっての?
>ロール形式にシフトするか
#そうだ。俺は後ろ姿も好きなので問題ないよ。
#たとえ100まで使おうがこのままの形式で完遂したい。新しく用意するの、お前大変じゃないかと。それが気になって。
#悪い、眠ってしまいそうだ。明日改めて置きに来る。──叶うならまた歌が聴きたい。なにか…歌って、アラヒト。お前の声、落ち着くんだ。
>りょーかい。この形式も新鮮でいい。…アンタって気遣い屋だよなあ。ここ弄る魔法のほうが大変だろうに。
>おー、じゃあ…──よーなかのさ、ん、じ、は〜♪もーねーるじかーんだ♪
>…おやすみ。
#(スヤァ)

“恋人”のワードに淡い期待を持ってしまう。
相手にしてみれば、意識のない体のいい断り文句に過ぎないものを。

響く笑声に眉間の皺が深まった。
人の気も知らないで。これまで何度唱えたかしれない。

漸く酒を空にして、再び持った箸は進みが悪い。
むくれたまま居酒屋を発ち、続いて訪れた先は情感漂うシックなバー。

「……、…よく来るのか、ここ。」

とはいえ、折角こいつとゆっくり出来るのだ。
口唇を割り絞りだした。



#(上手いとも言えないが、アラヒトの歌は良い。)
> (歌まで完璧にこなしちゃあ世界から嫉妬されかねない。これはいわば必要なバランス…。)


「ああ。いいワインをグラスで出してくれるんだ。
いつも大抵、ひとりで来る。」

これは事実。女の子を口説く時は、カクテルの豊富な別の店に行く。

──夜風に遊ばれ、少し乱れた髪。額が覗けばキツめの美貌が際立つ一方、ほんのり赤みのさした頰と、無意識にだろう、少しだけとがった唇が愛らしい。
男女問わず、すれ違う連中の視線を集めるのも道理。
はは、好きなだけ見ろ。俺のだけどな──なんて連れ歩くのを楽しむあまり、遠回りして10分弱、余計に歩いたってのはオフレコで。

さてオーダーの赤ワインが提供されると、残していいから飲んでみて、耳打ちしつつ乾杯を。
ここを選んだ理由はこれだ。白い指がグラスを持ち上げ、唇が真っ赤な果実酒に濡れるさまを見てみたかった。
ほどなく望み通り、色気を孕む睫毛が伏し、反った喉がこくりと上下する。
…たったそれだけの光景だってのに、えらく情動を揺さぶられるもんだ。口笛でも吹きたいのを抑え、代わりに。

「いいぜ。綺麗だ。……口説きたくなっちまった。」

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