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1972.Corpse Reviver【〆】
 ┗62

62 :ヨルク・ビス・アエタス
2021/02/09(火) 16:56


王子とパリピのアフターファイブ・4


「……、…。」

胸を締め付ける幸福を表す言葉は持ち合わせていない。
困ったような泣きそうなような、向かい合う男の色が伝染る。

ハイラルから日本に渡り、とら○あなで意気投合し…流れで黒沼家に居候中することになって、一年の半分を共に過ごした。

──だというのに、俺は彼の一体なにを見てきたのか。
想いの欠片は至る所に散りばめられていたのではないか。
彼なりのやり方で。彼が見てきた示し方で。

熱を通わせ合う指先を握り、改めてアラヒトを見据え直した。

「──誰より傍で見ていたい。理解できる事もできない事も、無理やり重ねて一つにしたい。」

ぽつりぽつりと溜め込んだ胸の内を吐き出す。

「好きだ、アラヒト。俺、」

酒の力を借りながら。

「お前のこと愛してる。」

何とか終いまで言い切った。



沈黙が続くほど、押し込めた不安が形を確かに成してゆく。

幻滅されただろうか。こんな余裕のない男は、今まで見せてきた──こいつが好意を向ける俺とは違うかもしれない。
そうやって怯える自衛心が組み立てた、おきまりのちゃらけ文句は、しかし。
真っ直ぐ向いた純真な翠に、音にしてたった5文字の言葉に。

…ひとたまりもなく溶かされてしまった。

それからカクテルを一杯ずつ。俺はアラスカを飲みながら、同じ5文字を彼に返して。
いい具合のほろ酔いとなったところで持ちかける。

「もう一件付き合ってくれ。今夜、そこで過ごしたい。」
お前と二人だけで。

──向かった先はホテル街。
城に似せた外観の門をくぐり、無人の受付を通過した先では、例のタッチパネルが九分どおりの空室を示している。

「どれがいい?プールとか岩盤浴付きの部屋もあるぞ。」
調子を取り戻した声音で、パートナーに委ねることとした。



顔つきばかりは平静を保っているが、寒空の下を歩く長躯の隣、心臓はどくどくと鳴っていた。

口にしてしまった。腹の底に溜めた心の一部を。
こいつが厭う重苦しい関係を。
だが、これ以上ないと思っていたその先を描いてくれるのなら、俺にとっては避けられない。
面倒な奴だと思われても。

──初めて訪れる施設。様々な部屋が並ぶそこに一頻り目を通し、赤と黒を基調とした岩盤浴付きを選択した。

軽く身体を流してバスローブに着替え、二人で石の上に腹這いになる。
染み入るような温かさが酒気と混ざって眠気を誘い、些か落ちかけた瞼で連れ人の切れ長を見つめた。

「……自由にさせたいんだ。けれども縛りつけたい。毎晩そばにいて欲しい。縛りつける権利が欲しい。」



このタグ(魔法)をアラヒトの色にしようと思うが、何色がいい?榛か、それとも代赭?不要だろうか。好きな色があればカラーコード(魔法)を書いておけよ。
Vi et Animo(俺の全てで)、Totus tuus(全てをお前に)──日記のタイトルも悩んでいる。良案はないか、宰相殿。俺はネーミングセンスが壊滅的なんだ。

>代赭って誕生色だったはずがすっかり隠語化しちまったな…。
じゃあコレで頼む。
>センス以前の問題で、横文字はさっぱりだって言ったろ、俺。…Corpse Reviver(死んでもお前と)なんてどう?
>古い言葉が好きなら、ne vivam si abisなんてのは。……いや、ちゃんと考えるわ。つーか俺の案より。Totus tuus、語呂もいいんじゃねぇか。美しすぎる気もするが。

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