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1972.Corpse Reviver【〆】
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ヨルク・ビス・アエタス
2021/02/09(火) 16:56
王子とパリピのアフターファイブ・4 「……、…。」 胸を締め付ける幸福を表す言葉は持ち合わせていない。 困ったような泣きそうなような、向かい合う男の色が伝染る。 ハイラルから日本に渡り、とら○あなで意気投合し…流れで黒沼家に居候中することになって、一年の半分を共に過ごした。 ──だというのに、俺は彼の一体なにを見てきたのか。 想いの欠片は至る所に散りばめられていたのではないか。 彼なりのやり方で。彼が見てきた示し方で。 熱を通わせ合う指先を握り、改めてアラヒトを見据え直した。 「──誰より傍で見ていたい。理解できる事もできない事も、無理やり重ねて一つにしたい。」 ぽつりぽつりと溜め込んだ胸の内を吐き出す。 「好きだ、アラヒト。俺、」 酒の力を借りながら。 「お前のこと愛してる。」 何とか終いまで言い切った。 沈黙が続くほど、押し込めた不安が形を確かに成してゆく。 幻滅されただろうか。こんな余裕のない男は、今まで見せてきた──こいつが好意を向ける俺とは違うかもしれない。 そうやって怯える自衛心が組み立てた、おきまりのちゃらけ文句は、しかし。 真っ直ぐ向いた純真な翠に、音にしてたった5文字の言葉に。 …ひとたまりもなく溶かされてしまった。 それからカクテルを一杯ずつ。俺はアラスカを飲みながら、同じ5文字を彼に返して。 いい具合のほろ酔いとなったところで持ちかける。 「もう一件付き合ってくれ。今夜、そこで過ごしたい。」 お前と二人だけで。 ──向かった先はホテル街。 城に似せた外観の門をくぐり、無人の受付を通過した先では、例のタッチパネルが九分どおりの空室を示している。 「どれがいい?プールとか岩盤浴付きの部屋もあるぞ。」 調子を取り戻した声音で、パートナーに委ねることとした。 顔つきばかりは平静を保っているが、寒空の下を歩く長躯の隣、心臓はどくどくと鳴っていた。 口にしてしまった。腹の底に溜めた心の一部を。 こいつが厭う重苦しい関係を。 だが、これ以上ないと思っていたその先を描いてくれるのなら、俺にとっては避けられない。 面倒な奴だと思われても。 ──初めて訪れる施設。様々な部屋が並ぶそこに一頻り目を通し、赤と黒を基調とした岩盤浴付きを選択した。 軽く身体を流してバスローブに着替え、二人で石の上に腹這いになる。 染み入るような温かさが酒気と混ざって眠気を誘い、些か落ちかけた瞼で連れ人の切れ長を見つめた。 「……自由にさせたいんだ。けれども縛りつけたい。毎晩そばにいて欲しい。縛りつける権利が欲しい。」 このタグ(魔法)をアラヒトの色にしようと思うが、何色がいい?榛か、それとも代赭?不要だろうか。好きな色があればカラーコード(魔法)を書いておけよ。 Vi et Animo(俺の全てで)、Totus tuus(全てをお前に)──日記のタイトルも悩んでいる。良案はないか、宰相殿。俺はネーミングセンスが壊滅的なんだ。 >代赭って誕生色だったはずがすっかり隠語化しちまったな…。 じゃあコレで頼む。 >センス以前の問題で、横文字はさっぱりだって言ったろ、俺。…Corpse Reviver(死んでもお前と)なんてどう? >古い言葉が好きなら、ne vivam si abisなんてのは。……いや、ちゃんと考えるわ。つーか俺の案より。Totus tuus、語呂もいいんじゃねぇか。美しすぎる気もするが。 [
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