セクシーした(6/10)
善かったぜﾖﾙｸﾁｬﾝ…♡
お前も最高にBitchだったよ…♡


拝読先でセクシーについての話題があり、そういえば最近していないな…と思い当たって「セクシーしていない話でも綴るか」とここに軽く書きつけたらば、翌日あいつがセクシーなTシャツを意気揚々と持ち出してきた。
女性の半裸がプリントされたありがちなデザインである。なんでも「Tシャツの日」らしく、タンスに眠っているものを引っ張り出して着ねばならないのだそうだ。

俺は無表情で速やかにそれを着用した。俺が求めているセクシーはこれじゃない。ブラウスの上から着てやった。腹いせだった。
あいつにはBitchTシャツを着せた。これもまた憂さ晴らしの一環だ。

イカれたTシャツを着て二人で暫し向き合ったところ、セクシーのことなど最早どうでもよくなっていた。その結果が一番初めのメモ書きである。

自分語りと薄っすらR20。

俺にとって房事はさほど重要な位置を占めず、それよりも剣や言葉で語らうほうを幾らも好ましく思っていた。男女、上下。この身を得るまで垣根なくやってきた所以だ。それがあいつと出逢ってがらりと変わった。創痕だらけの身体に形の良い指や唇で触れさせることを悪びれつつも、奥底ではやめないでくれと懇願にも似た情を滾らせ、機会のたび焼き付けるように綺麗な仕草を眺めている。あいつは俺の視線であったり状態であったりを非常に上手く汲み取り、緩く、激しく、一番良い手で事を進める。優しいと言うと否定されるが、根本的に思い遣り深く人を大事にする奴なのだと思う。尊敬する。反面、過去もそうしてきたのだと僅かに妬ける。

あいつは本当に面白いというか出来た奴だというか…腹を下した直後にも関わらず、折悪しく重なった俺の求めに真摯に応えようとしてくるので笑った。
(愛してるよ、アラヒト。可愛いひと。ほんとバカだな、お前は。拒否しても流してもいいんだぞ。そんな些細なことで気持ちは揺るぎやしないのだから。)
どうしてこんなにも可愛らしく辛抱強い奴が一人でいたのだろう。俺は本当に幸運だったと言わざるを得ない。


最早お前でなければ満たされない。交合に限らず、全部。全部お前とがいい。


肌を合わせずとも側にいられるか、よくある問いの答えはYES。けれども無くなったら少し寂しい。こんなこと、これまで一度もなかったのに。



俺はきっと、アンタを探してたんだ。
アンタが一人でラッキーだった。ありがとな、俺を待っててくれて。
ああ。こちらこそ、8年越しの恋を叶えてくれてありがとう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Yorck

ヨルクちゃんが作業＆おそうじ中。構ってくんねぇ。

そんなわけで、久々に日記でも書くことにする。さてさてテーマは、と…──あ、そうそう。俺たち、来月新居に移るんだよね。いま住んでる実家から駅ふたつ離れた、駅近3LDKのマンション。
先行して今月、挙式する。あいつの故郷の森の、いかにもエルフの国っぽい、大樹と一体化した城で。むこうの式進行は詳しく知らねぇけど、ひょっとして、モーニングコート着た族長がヨルクちゃんをエスコートしてヴァージンロードを歩いてきたりするのか？
誓いの言葉と指輪交換はきっとやるはず。それからキスして、フラワーシャワーの舞い散る森の中を歩くんだ。最高にきれいな俺だけの向日葵ちゃんを抱き上げて、そのままハネムーンに直行したいところだが。披露宴もやるなら、終わるまでは我慢しなきゃな。ケーキ入刀とかすんのかな。同僚の結婚式で見た、ナイフが突然キュピーンって発光するやつ、仕掛けなしでやれそう。ただし、安全性に関しては不安が残る。

昨今、ビーチウェディングやガーデンウェディング、テーマパークウェディングと結婚式もユニーク揃いだが、異世界ウェディングってのはそうそうないだろう。できる奴も限られるしな。…もっとも、あいつにしてみれば別段、異世界でもなんでもないわけだが。



ところで。ここの魔法や整理整頓、いつも任せっきりなんだよなァ。俺もなんか手伝えることある？なあ、ヨルクちゃん。
「邪魔だから大人しくしてろ」っていうなら、真面目に仕事してくるけどさ…。いや〜、しっかり者の奥さんもらうと助かるぜ。
とはいえ、なにもしねぇのはNGだ。いくら社畜だからって、できることはちゃんとやんねぇと。SNSに「夫が家にいるのがストレス」「マジ生ゴミ」とか書かれちゃ堪んねぇ。おれ泣いちゃう。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　黒沼アラヒト