今、僕のことを見ているのは君だけだ。 昼夜の区別もない。 自分がどこへいるのかも分からない。 湖のように凪いで。 夜のように静かだ。 とても居心地が良い。 ずっとこうしていられれば良いのに。 けれども僕のからだは生きるための最低限の機能を有していて ひとりではそれを維持できない。 君が僕の元を離れれば僕は助けを呼ぶこともない。 君が朝、わざわざ僕へ挨拶をおくって それから出ていく背中を見ながら いつ帰ってこなくなるのだろうと夢想する。 それは恐ろしいことではない。 むしろ、なぜ帰ってくるのかが理解できない。 理解できないことのほうがおそろしい。 君も早くどこへでも行けば良いのと。 |