互いに別の地で活動をしていると、なかなか、 なかなか都合良くその日のうちには会えないもので、 少し早い日取りで彼に愛の贈り物を届けた。 こちらへ来て知り合ったひとに教えてもらったのだけどね、 王妃も愛したお菓子だそうだよ。 まぁ……影片の苦手とする材料が使われていたから、 だいぶ僕自身のアレンジを加えたけれど。 それから、あまりにも普段『僕の手料理が恋しい』と メッセージを送ってくるものだから、日本に着いて早々に 寮のキッチンで幾らか保存の効くものを拵えた。 まったく……折角食事の面倒も見てもらえるように寮へ放り込んだのに 文句を言って食べるのを控えていては意味がないのだよ。 僕はね、君のことをこれだけ考えて数日前から準備を進めていた。 なのに……君ときたら、手作りだとかいうケーキを置いてきてしまって。 君の頭は相変わらず空っぽなのだろうね。 少しは僕のことを詰めたまえよ。 取りに行くように促しても押さえている時間の都合があるから、と 押し切られてしまうし。 後から取りに帰ってはくれたけれど、どうしてあの子はこうなのだろうね。 早く僕が居なくとも大丈夫と思えるような、 そんな一人前の人間になって見せて欲しいのだけれど。 これでは安心して夜眠ることもできやしない。 |