あぁ、また影片からの着信が残っている。 こんなに頻繁に掛けてきて仕事に支障はないのかね。 仕方がなく折り返すと、呑気な声が電話口から飛び出した。 #「あっ、お師さん~! #あんなぁ、この前いっぱい作ってもらったご飯のことなんやけど……。 #冷凍してたらまだ食べても大丈夫やんな?」 「あぁ……冷凍庫に入れていたなら一ヶ月程は保存が可能だろうけれど。 だからと言って取っておかないようにね。お腹を壊すから早く食べな?」 #「おぉお!!もっかい、もっかい言うて!!」 「え、なに、なにかね、怖いのだけど。」 #「お腹壊すからって!!!」 「……お腹壊すから早く食べな?」 #「うぉぉぉ!!!」 何か得体の知れないものに興奮している様子がとても怖い。 僕は君をそんな人間に育てたつもりはないのだよ……。 その文言を口にする度に昂っている様子が 声だけでも手に取るように分かる。 #「もう一回!もう一回!」 「もう十何回は言っただろう。」 #「えぇからはよ!」 「君が良くやっているゲームと同じで、無料でできるのはここまでだよ。 また明日にしたまえ。」 #「課金したらえぇんやな?」 「ち、違う……。送金するんじゃない……。」 #「ほんなら言うて。」 「お腹を壊すから早く食べな。」 #「ちゃう!!ちゃうんよ!! #語尾が上がり気味の優しいやわこ~い感じがおれは聞きたいんや!!」 「お腹を壊すから早く食べな。」 #「ちゃうの。おなかこわすからはやく食べな?やの。」 「どうでも良いから早く食べたまえよ。」 #「なんで!!!!!!なんでわからへんのや……!」 「君の妙な性癖に僕を巻き込むな……。」 #「お師さんのアホ!いけず!」 |