あれがね、いる前で口を滑らせた僕が悪いのだけど。 出会う前に綴っていた日記の存在を知られた。 誰にとも宛てないメモ帳だ。 ひとの目に触れさせるものでもない。 それをあまりに見たいと駄々を捏ねるから、 「それならふたりで作ろうか」 と言った次の日にはもう彼は何やら作業していて 一所懸命描き上げた絵画を掲げる子どものような顔で見せてきた。 僕はと言えば今改装作業をしている。 こんな古くて体裁の整っていないものは見せられないからね。 一緒に作ると言ったのに、という声が聞こえるが 昔のものが見たいと言ったのは君だろう。 そういうことではない? カカカ!なんのことだか。 2020/0106 |