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┗1585.「」(6-10/19)

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10 :ア/ビ/ゲ/イ/ル〔夏〕(Fa/te)
2020/09/07(月) 03:51


 ねえ、マスター。マスターは、どんな夢がお好き? 今宵の夢は、お好きかしら。


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9 :鶴/丸/国/永
2020/09/06(日) 00:05


 きみが削ぎ落としてきたものどもの所在は、知らないぜ。そいつらは、きみのひとみに映り、ようやっと、判ることだろう。俺は、俺のまなこに映るものしか解らんからなあ。……だが、ふむ。どうだろう。皆な、春のような心地で在れば好い。そう、希うばかりだ。

#
 忘れるはずもないだろう。俺はずいぶんと物好きらしく、己れのやいばが残すだろう疵痕について、ようく考えている。「斬っていいのは、斬られる覚悟のあるやつだけだ。」とはよく聞くが、このやいばはどれほどの疵になるか、どれだけ痛いものなのか、そう悩んでは、強気な言の葉を撰べないままだ。おしまいまでを思い浮かべて、それでも、つめたさへ身を託したときには、いつも、眩暈がする。ばかだろう。誰れも彼れもを斬れないことを、それでも吉としたこころに倣えば、みつるぎとして在れなくなる。──ああ。斬る、斬るさ。斬らぬままでは、在れない。戦さ場に出りゃあ、確りと。だれかの代わりに斬るとも。この、俺が。おひとの代わりに斬るのが、俺たち、みつるぎだ。
 こんな俺を「やさしい」と形容するやつも居たが、なあに。蓋を開いてみれば、そら。ただ、臆病なだけだろう。やさしさは、もおっと、あたたかいはずだ。たおやかなはずだ。寧日のように。

 いつかのきみに向けたやいばも、そうだった。やいばを向けながらも、俺のこころよりも、きみのこころを想うていた。この科白が、きみをどれだけせつなくさせるのか、しかし、きみはこんな小心者の言の葉では揺るがないのか。そんなようなことを、考えていたような気がする。くちにするまえから、後悔していたのさ。つめたいやいばを向けるときは、何時だって、そうだ。
 或の日は、本當におしまいなのだと念うていた。積み上がる「さようならば」が、ようやく、まことになるのだと、哀しんでいた。きみが、おしまいにしたがっているものだと感じて、ずいぶんと、おひとらしいさみしさを獲ていた。きみが苦しくなるのならば、俺は俺として在らずともかまわないと告げたのは、決して虚言ではないさ。いつだって、いつかに喩えた傲慢さを湛えては、きみの倖せと云うやつを希いつづけている。けれど、或の日は、一等、さみしくなっていた。守りたい想いよりも、衛りたい希いよりも、さみしさが勝ってしまった。忘れて欲しいくらいだが、残ることも知っている。それから、「さみしい」を告げることが、あんまりにも下手だったなあ。そんなふうな起爆剤が揃いに揃って、きみの記憶に刻まれるやいばになったのは、妙な心地だ。──あんなふうに、さみしいことを告げないで欲しかった。もう、「さようならば」を積み上げるのはやめて欲しかった。とおくへいかないでほしかった。童子のような我が儘に似る、それだけだったような気もするが、もう、なにを並べても、ならない話か。

 「ともだちになろう。」とは告げたものの、俺は、きみと出逢うた或の日から、きみを、ともだちと称びつづけている。きみを、好く想うている。倖せにつながる仕合わせを希いつづけている。きみのなかで旧びても、憶い出は、お星のようにかがやいているさ。ああ、──なあ。こんなにも、うつくしいだろう。褪せることはないから、焦ることもない。きっと、だいじょうぶだ。だいじょうぶだから、居てくれ。傍に。俺と、ともだちでいてくれよ。くち、やくそくだ。

#
 これからは、これからのはなしもしよう。佳日を捲ることは容易い。だからこそ、かぐわしい憶い出のいろを滲ませながら、きみのこれからに、俺も倚り添わせてくれよ。こうして、聴いていたいんだ。


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8 :鶴/丸/国/永
2020/09/05(土) 04:03


 おやすみ、きみ。夢路は、俺が守ってやろう。

#
 きみは、俺を憶うだろうか。
 俺たちは、ずいぶんと、とおいところまで来てしまったなあ。憶うだけでも愛ならば、俺は過日をいつまでも愛していられることになる。そうでなくとも、追慕がお得意のきみの許に在れば、そうそう、不得意にはならないさ。……なあ、きみ。主。きみ。きみたち。おしまいすらとおいことを、俺たちは、ようく知っている。かわいそうだと微笑うかい。それも、好いだろう。憶うことが愛ならば、先の御代を想うことは、恋だろうか。きみの嘔吐感を眺めながら、俺たちの小径を惟うことは、なんだとおもう。ははあ、さて。俺はおひとではないのだから、知る由もない。だが、此処には「さようならば」は、無い。「またね」が蔓延るばかりだ。さながら、海原からひとのかいなが観えるように、えんえん、えいえんを臨んでいるばかりだ。……ああ、なんとも。

#晨朝
 鐘が鳴る。鐘の音が、そらを割くように、俺たちは裂かれるのだろうか。俺の羽音は、きみにとっては煩わしいだけかも知れない。それでも、観えたからには留まれないことを、きみもご承知のはずだ。俺は変わらないままさ。もう、変われないのかも知れない。だからこそ、変わらず、きみへ、茶でも煎れるだろう。

#
 眠れない真夜には、おまじないを憶い出してくれ。きみならば、なぞれるだろう。ない、ない。……ふ、ふ。──さあ、子守唄のように、口遊んでくれよ。きみと、俺の軌跡だ。ことのはも、こえも。寫眞も、絵画も。俺たちの記憶は、紫水晶が欠けようとも、きみの青は枯れないままだ。だから、なあ。安心して、ゆうるりと。きみはきみの心地好いままに、過ごしてくれよ。おんなの亡霊ならば、青江が斬るさ。きみが憂うことも、きいっと、ない。思い出は、想いをのせて、刃紋に映り込んでは、水面のかたちを写している。忘れることはないさ。あざやかな夏が終わろうとも、畏日を幾たび越えようとも、継ぎに、秋が来る。さやかな赤葉を掬いあげれば、俺たちの冬が、迎えにくるぜ。きみの冬を言祝げば、蒲公英の綿毛を憶おう。きみと、俺で。佳き陽だまりに愛しまれて、菓子箱を開けば、うつくしい八ツ刻になる。そうら、な。だいじょうぶさ。

#
 きみが厭うのならば、忘れてくれ。すべてを。

#
 それでも、俺は憶えていたい。終ぞ、忘れることは適わないだろう。こうして憶えていたいと想うのならば、尚更だ。忘れないさ、きっと。忘れられないのだから、だいじょうぶだ。このまま、ひっそりと蔵い込んでおこう。そうして、時折り微笑んでいる。在りし日の影法師を手招きながら、ひとり、憶うているさ。


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7 :鶴/丸/国/永
2020/07/25(土) 14:29


 きみたちへのこころを、勝手に綴ることにした。まえにも書いたが、返答は要らん。俺も、そう、すぐには気付けないだろうからなあ。──なあ、きみ。きみたち。きっと、また、麗しいこころを聴かせてくれよ。

#X:0000
 >>17

#3:1279「眠らぬスピカ」
 きみ、もう逝くのかい。ひそかに、きみの声を聴いていたんだが、遠征へ旅立つあいだに見喪ってしまったらしい。どうか、眠れぬ真夜にも、真珠星の加護を。

#1:0234「水紋、」
 ははは、驚きだろう。おや、驚かないかい? 俺は、驚いた。ふふ、文字どおり、水面を眺めているようで好いなあ。脚運びは緩やかなようだが、きみ、延命してくれよ。あしを洗いながら、泥のようなはなしをしよう。

#0:1718「貴方の埋葬」
 >>8 >>9 >>13 >>14
 なつかしい、佳日を憶うている。ばかなはなしだと、きみは嗤笑うかい。それでも、かまわないさ。きみがわらってくれるのならば、歓ばしい。──さて。はじめまして、きみ。俺と、ともだちにならないかい。ならなくとも、……ああ、そうさなあ。佳いよるを。ゆめを。

#1:2310「尸に花」
 この俺にしては、もの珍しく気がついた。きみのよろこびになったのならば、俺がこうして在る意味もあると云うものさ。文をありがとう、きみ。

#3:1146 「剥製.」
 見知らぬ地からきみの声が聴こえた。えも言われぬさみしさと、いとおしさが募ることばの数々だ。三度目の正直、そのさいわいが、とわにつづくことを。

#0:2042「終盤には拍手喝采がいい
 のちほど。のちほど、きみたちの言の葉について綴ろうとしていたら、もう、何処かへ遊びに行ってしまったのかい。なら、佳い旅路を。

#X:0003「親愛なるきみたちへ」
 のちほど。



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6 :鶴/丸/国/永
2020/04/04(土) 18:10


#親愛なるきみたち(敬称略、順不同/返事不要)

1:0234「水紋、」
1:2310「尸に花」
3:1146「剥製.」
X:0003「親愛なるきみたちへ」

3:1279「眠れぬスピカ」
0:1718「貴方の埋葬」
0:2042「終盤には拍手喝采がいい」

::追伸


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8 :鶴/丸/国/永
2020/09/05(土) 04:03


 おやすみ、きみ。夢路は、俺が守ってやろう。

#
 きみは、俺を憶うだろうか。
 俺たちは、ずいぶんと、とおいところまで来てしまったなあ。憶うだけでも愛ならば、俺は過日をいつまでも愛していられることになる。そうでなくとも、追慕がお得意のきみの許に在れば、そうそう、不得意にはならないさ。……なあ、きみ。主。きみ。きみたち。おしまいすらとおいことを、俺たちは、ようく知っている。かわいそうだと微笑うかい。それも、好いだろう。憶うことが愛ならば、先の御代を想うことは、恋だろうか。きみの嘔吐感を眺めながら、俺たちの小径を惟うことは、なんだとおもう。ははあ、さて。俺はおひとではないのだから、知る由もない。だが、此処には「さようならば」は、無い。「またね」が蔓延るばかりだ。さながら、海原からひとのかいなが観えるように、えんえん、えいえんを臨んでいるばかりだ。……ああ、なんとも。

#晨朝
 鐘が鳴る。鐘の音が、そらを割くように、俺たちは裂かれるのだろうか。俺の羽音は、きみにとっては煩わしいだけかも知れない。それでも、観えたからには留まれないことを、きみもご承知のはずだ。俺は変わらないままさ。もう、変われないのかも知れない。だからこそ、変わらず、きみへ、茶でも煎れるだろう。

#
 眠れない真夜には、おまじないを憶い出してくれ。きみならば、なぞれるだろう。ない、ない。……ふ、ふ。──さあ、子守唄のように、口遊んでくれよ。きみと、俺の軌跡だ。ことのはも、こえも。寫眞も、絵画も。俺たちの記憶は、紫水晶が欠けようとも、きみの青は枯れないままだ。だから、なあ。安心して、ゆうるりと。きみはきみの心地好いままに、過ごしてくれよ。おんなの亡霊ならば、青江が斬るさ。きみが憂うことも、きいっと、ない。思い出は、想いをのせて、刃紋に映り込んでは、水面のかたちを写している。忘れることはないさ。あざやかな夏が終わろうとも、畏日を幾たび越えようとも、継ぎに、秋が来る。さやかな赤葉を掬いあげれば、俺たちの冬が、迎えにくるぜ。きみの冬を言祝げば、蒲公英の綿毛を憶おう。きみと、俺で。佳き陽だまりに愛しまれて、菓子箱を開けば、うつくしい八ツ刻になる。そうら、な。だいじょうぶさ。

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 きみが厭うのならば、忘れてくれ。すべてを。

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 それでも、俺は憶えていたい。終ぞ、忘れることは適わないだろう。こうして憶えていたいと想うのならば、尚更だ。忘れないさ、きっと。忘れられないのだから、だいじょうぶだ。このまま、ひっそりと蔵い込んでおこう。そうして、時折り微笑んでいる。在りし日の影法師を手招きながら、ひとり、憶うているさ。


9 :鶴/丸/国/永
2020/09/06(日) 00:05


 きみが削ぎ落としてきたものどもの所在は、知らないぜ。そいつらは、きみのひとみに映り、ようやっと、判ることだろう。俺は、俺のまなこに映るものしか解らんからなあ。……だが、ふむ。どうだろう。皆な、春のような心地で在れば好い。そう、希うばかりだ。

#
 忘れるはずもないだろう。俺はずいぶんと物好きらしく、己れのやいばが残すだろう疵痕について、ようく考えている。「斬っていいのは、斬られる覚悟のあるやつだけだ。」とはよく聞くが、このやいばはどれほどの疵になるか、どれだけ痛いものなのか、そう悩んでは、強気な言の葉を撰べないままだ。おしまいまでを思い浮かべて、それでも、つめたさへ身を託したときには、いつも、眩暈がする。ばかだろう。誰れも彼れもを斬れないことを、それでも吉としたこころに倣えば、みつるぎとして在れなくなる。──ああ。斬る、斬るさ。斬らぬままでは、在れない。戦さ場に出りゃあ、確りと。だれかの代わりに斬るとも。この、俺が。おひとの代わりに斬るのが、俺たち、みつるぎだ。
 こんな俺を「やさしい」と形容するやつも居たが、なあに。蓋を開いてみれば、そら。ただ、臆病なだけだろう。やさしさは、もおっと、あたたかいはずだ。たおやかなはずだ。寧日のように。

 いつかのきみに向けたやいばも、そうだった。やいばを向けながらも、俺のこころよりも、きみのこころを想うていた。この科白が、きみをどれだけせつなくさせるのか、しかし、きみはこんな小心者の言の葉では揺るがないのか。そんなようなことを、考えていたような気がする。くちにするまえから、後悔していたのさ。つめたいやいばを向けるときは、何時だって、そうだ。
 或の日は、本當におしまいなのだと念うていた。積み上がる「さようならば」が、ようやく、まことになるのだと、哀しんでいた。きみが、おしまいにしたがっているものだと感じて、ずいぶんと、おひとらしいさみしさを獲ていた。きみが苦しくなるのならば、俺は俺として在らずともかまわないと告げたのは、決して虚言ではないさ。いつだって、いつかに喩えた傲慢さを湛えては、きみの倖せと云うやつを希いつづけている。けれど、或の日は、一等、さみしくなっていた。守りたい想いよりも、衛りたい希いよりも、さみしさが勝ってしまった。忘れて欲しいくらいだが、残ることも知っている。それから、「さみしい」を告げることが、あんまりにも下手だったなあ。そんなふうな起爆剤が揃いに揃って、きみの記憶に刻まれるやいばになったのは、妙な心地だ。──あんなふうに、さみしいことを告げないで欲しかった。もう、「さようならば」を積み上げるのはやめて欲しかった。とおくへいかないでほしかった。童子のような我が儘に似る、それだけだったような気もするが、もう、なにを並べても、ならない話か。

 「ともだちになろう。」とは告げたものの、俺は、きみと出逢うた或の日から、きみを、ともだちと称びつづけている。きみを、好く想うている。倖せにつながる仕合わせを希いつづけている。きみのなかで旧びても、憶い出は、お星のようにかがやいているさ。ああ、──なあ。こんなにも、うつくしいだろう。褪せることはないから、焦ることもない。きっと、だいじょうぶだ。だいじょうぶだから、居てくれ。傍に。俺と、ともだちでいてくれよ。くち、やくそくだ。

#
 これからは、これからのはなしもしよう。佳日を捲ることは容易い。だからこそ、かぐわしい憶い出のいろを滲ませながら、きみのこれからに、俺も倚り添わせてくれよ。こうして、聴いていたいんだ。


13 :宮/沢/賢/治(文/ア/ル)
2020/12/09(水) 19:07


#十二月九日
 心/平から手紙が届いた。ううん、心/平はいっぱい手紙をくれるもの。だから、心/平から、今夜も手紙が届いた、って云うのが正解。でも、これもね、あたりまえじゃあない、とくべつなこと。そんなふうなことが、ボクはとってもうれしいんだ。ありがとう、心/平。

#十二月十日
 素敵な日、おめでとう、心/平。ボクたち、きっと、ずうっと、いっしょに居よう。お月さまの果てまでだって、どこまでも、ふたりで往こう。キミの道ゆきに、さいわいが在りますように。キミが、ずうっと、しあわせで居られますように。お星さまに、希ってるよ。

#十二月十一日
 「ありがとう」の手紙を書く前に、「おめでとう」の手紙も書いちゃった。でも、それも好いよね。ボクは、宝ものがだいすきだから。心/平からもらったうつくしい色。南/吉と隠れん坊して遊んだ夜。光さんが魅せてくれた小鳥のスケッチ。中/里さんの素敵な詩。朔さんと見つけた綺麗な小石。谷/崎さんと交換こして食べた天ぷらそば。中/也くんと綴りあげた心象スケッチ。それから、それから──。ぜんぶが、ボクの宝もの! もちろん、もう、逢えないひとたちからもらったも、ぜんぶ、ぜんぶ、宝もの。だれかが居なくなってしまったって、憶い出はお星さまのように、かがやいているんだ。もう此処には居ないキミたちのこれからも、ずうっと。しあわせに包まれていることを、祈がってる。

 ボクのしあわせはね、きっと、だれかに分けてあげるためにあるんだ。だから、あんなにうれしい気持ちになった夜には、たくさんの贈りものをしたくなる。キミにも、キミにもね。だから、「ありがとう」を籠めて、キミたちを包むすべてのお空に、希うよ。生きとし生けるものすべてが、しあわせでありますように!


14 :清/姫(f/a/t/e)
2020/12/10(木) 00:12


 壱。ええ、ええ。忘れるはずがありません。忘れるはずが、御座いますまい。この清、貴嬢の晴れの日を、誠心尽くしてお祝いいたしましょう。うふ、うふふ、数字も、鏡合わせにございましょう。……鏡合わせでは、ない? いえ、いいえ。揃いの数字ですもの。おそろいでしょう。勿論、ま/す/た/あも歓んでおりますわ。ねえ、ま/す/た/あ。あ。あ、──安/珍さま。

 弐。あら、あら。ああ、いけない。いけませんわ。午睡といたしましょう。なんせ、貴嬢の祝いの日に御座いますから。わたくし、朝な夕な、言祝ぐ心持ちで居るのですよ。ですが、ゆうるりとおやすみになるのも、善いでしよう。この、佳き日に。この、佳き日こそ、おやすみなさいまし。安/珍さま。──あ。安/珍、さま? ええ、安/珍さま。今宵も、おいたわしく。

 参。黄昏れ刻に御座います。鬼の、ああ、化生の気配がいたしますが、貴嬢はなにも、なにも、憂うことはありませんわ。このような鏡、わたくしが壊して差し上げましょう。ねえ、安/珍さま。こころ患うことは、なにひとつとして、御座いますまい。水面を破り、あなたさまの邪魔となる、すべて、すべてを、燃やして差し上げます。これからも、いままでも。この、わたくしが。わたくしこそが、おまもりいたします。貴嬢の純なるおこころも、秋めくおこころも、お守りいたしましょう。雪降る水際の晴れの日を、旅ゆく冬鳥のような道行きを。しあわせを。貴嬢さまと、巡り逢うすべての倖せを、衛りつづけましょう。ええ、──。

 肆。ああ、ああ。夜の帷が下りては、いくら祝いの暮れとは云え、貴嬢を小径に出すわけにはいけませんね。ええ、ええ。観念して、くださいまし。あとは、家を内から守る者、家内となるこの清──あなたの清/姫が、終のやしろまで、お傍に居りますわ。ねえ、貴嬢。今宵は、いかようなおはなしが好いですか。わたくし、か/る/で/あにて、おもしろき、おかしき、おとぎ話をたくさんお聴きいたしました。きっと、貴嬢さまのお気にも召すでしょう。わたくし、物語るには、あまりに不束者ですが、あなたさまのお耳に入るのでしたら、誠心誠意、おはなしいたしますわ。ええ、すべて。まことの話をいたしましょう。嘘偽りなど無き、ほんとうの物語りをいたします。わたくしは、わたくしだけは、ほんとうを差し上げましょう。うふ、ふふ。ふふ。ほんとう、ですよ。わたくし、嘘は嫌いですもの。ねえ、そうでしょう、安/珍さま。わたくしたちに、嘘など、ありませんよね。ねえ、……ねえ?

 伍。肆で終えるには、めでたき日に、相応わしくありませんね。伍を添えて、貴嬢へ。さあ、さあ。今年も、あなたさまを言祝ぎますわ。ええ、ええ! おめでとうございます。どうか、今宵こそ、素晴らしきよるになりますように。今宵を終えたとして、これからも、わたくしがお傍に居りますもの。貴嬢に仇なすものは、ええ、──燃やします。たとえ、ほのおを敷いたとしても。やいとを越えて、うつくしき後朝を迎えましょう。ねえ、あなたさま。今宵も、あいしておりますわ。


17 :鶴/丸/国/永
2021/03/07(日) 14:57

 
#野良の三/条・三/日/月/宗/近殿

 きみがまだ此処を覗いてくれているか、否かは不確かだが、送りたいものは送りたい。と、云うことで、勝手気ままに筆を執ろうと思う。

 まずは、春の便りをありがとう。梅の香りが咲きわうなか、きみの声が聴けてこころ嬉しく思う。まあ、なんとも散歩日和だからなあ。きみの散策の道中、この俺が目に留まったのなら、それほどうれしいことはない。『ふぁんれたあ』と云うものも、文のひとつには変わりないだろう。やはり、俺にも返礼をさせてくれよ。

 知らぬ顔ばせのやつらの手記まで、読んでくれたとなっちゃあ、俺が代わりに言うしかない。なにを? そりゃあ、勿論、「ありがとう」さ。素敵な言葉だろう。俺は好きだぜ、「ありがとう」。きみのお相手と云うやつへ贈る文の、こころばかりの花の足しになるのならば、それも歓ばしいものだ。俺自身はてんで書けんと筆を投げてばかりだが、それでも愉しそうに見えるのならば、それも心躍る。きみのこころのなかで、俺の言の葉が小躍りしているさまさえも眺められそうだ。

 はは、とくべつなことなぞ要らないさ。きみが、俺の──俺たちの、だれかのための遺書に似た散文たちを読んでくれた。そのうえ、素晴らしい文をくれた。きみの云うとおり、やる気も出ると云うものさ。最近はめっきり外に出ず、主のように出不精を極めているものだが、きみと出逢えた折りには、ああ。胸でも、こころでも借りてくれ。そうでなくとも、気が向いたときにでも、話し相手になってくれるとうれしいもんだ。なんせ、此処は廃墟のように寂れているからなあ。

 終いに。偽ものの宿の名にも悪戯心が見えて好ましかった。きみはきみらしく、たのしく過ごしてくれ。それでは、佳き梅の水限を。