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1945.月に叢雲
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10 :夏/油/傑(呪/術/廻/戦)
2022/04/11(月) 13:01










悟は鋭いな、とよく思う。
傍若無人な様でいて、その実意外にも感情の機微に敏感だ。それが彼の性格故なのか、持って生まれた眼の性質故なのかはさておき、特に最近になって呑み込もうとした感情を既のところで悟られることが増えた。勿論それがプラスなら良いんだが、どうにもマイナスの方が多く察知されているように思う。

元々呑み込むのは得意だ。喉元過ぎれば何とやらとあるように、一度呑み込んでしまえばどうとでもなる。でも最近の悟はそうさせてくれない。私が呑み込む前に問うて来るものだから、釣られて感情を吐露する機会が増えてしまった。例えば不安だったり、寂しいと言う感情だったり、あまり知られたくないようなものばかりを。
私がみっともなく吐き出した感情を悟は責めない。諌めることもしない。ただ受け入れて、剰えよく言えましたとばかりに褒めてくれさえする。

人の弱音を聞くのは苦にならない。ただ、自分のそれを人に聞かせるのは苦手だった。言ったってどうにもならないことも多いし、それなら呑み込んでしまった方がずっと楽で居られる。誰も興味が無いものを態々晒す必要もない。
なのに、悟はそれを聞きたいと言う。お陰様で知らない間に私は随分と女々しくなってしまった。そしてそれを許容する男が隣でもっと頼れと甘やかしてくるんだから先が思いやられる。更にタチの悪いことに、私もそれを存外悪くないと思ってしまっている。

フフッ、寂しんぼはどっちだよ。






 

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