ひふみはなぜか、日曜の夜になったら盛りやがる 昨夜もそうで… いやもう明日は月曜で朝早いんだ…勘弁しろ そう思うが、あの良すぎる顔で迫られると、流され気味になる俺も俺 とは言っても、なんせ時間がない 触れてくるアイツを、ちゃっちゃと自慰で済ませろよ…なんて言ってあしらうと、だったらその方法を教えろ…って切り返し、俺の上から退かない わかったよって、お返しに直握りしてやった …アホ毛ぴこーんで、ビックリしやがって ふふん しかし現実はそう甘くないってことを教えてやった 中途半端で放置という手段をとってな(やってやった顔) 週明けの今日 「ナンバーワンホストの僕に素数を数えさせるってなかなかの大物だよ、きみは…」 仕事明けのひふみが、開口一番、こんなとんでもないパワーワードを吐いた ……週末が…怖い |
ハッピーバースデー…俺 俺、何歳になったんだっけ? え? あぁ…そうだな、もう三十路… 三十路…だとさ…はあぁ 誕生日…といえば、あれ、小3のときだったか 父さんに買ってもらった新しい自転車で、ひふみとふたり、ちょっとした冒険に出掛けたことがあって 隣町に大きな池があることを知っていたひふみが、行きたいって言ったんだよな ザリガニとかタガメを捕りたいって 俺は子どもながらに、俺たちだけで隣町まで行くことに対して不安を感じていたんだが、ひふみはどこ吹く風で、虫取り網とプラケースを持ってやってきた 「ボクも行きたい」ってゴネる弟を振り切って、大はしゃぎするひふみを自転車の後ろに乗せて、えっちらおっちら二時間近くかけて、やっと目的の池にたどり着いたっけ キラキラした目を更にきらっきらにさせて、一目散に池まで走っていくひふみの背中を見ながら、自転車の鍵をしっかりかけて、俺は後を追った 池の中を覗き込み、浅いところにかたまっている赤いザリガニを指差して、きゃっきゃするひふみ 持ってきた割りばしに糸を括りつけ、その先に餌になるスルメを取り付けている俺の手許を、不思議そうな顔で見る 「これで釣るんだよ」って方法を教えて、完成したザリガニ釣りの道具を手渡してやると、ぱっとヒマワリみたいな笑顔になった 以前、父さんと釣ってきたザリガニを見て、ひふみがもの凄く羨ましそうにしていたのを憶えていたんだ スルメで面白いようにザリガニは釣れた 釣れたザリガニを並べて、どいつを持ち帰るかって、散々悩んでいたな 一匹、すごく大きくて、ハサミが立派なヤツがいたから、俺はてっきりその個体を選ぶんだと思っていた でもひふみは、似通った大きさの二匹を選ぶと、残りを池に戻しにいった それでまた二時間の帰り道 行きはよいよい帰りは怖い――と言うが、道がわかっている帰りのほうが、スイスイ帰れたな ま、とはいえ案の定 家に着いたらもう真っ暗で、こっぴどく父さんと母さんに怒られた 母さんの後ろに隠れながら、弟がこっちに向けて舌を出していた 俺とひふみは、父さんから痛いゲンコツを貰ったよな だけど… 大切そうに抱いたプラケースの中を見て 「オレとどっぽみたいだよな」 そう言って笑ったアイツの顔は、なによりもはっきりと記憶に残っているんだ あれから20年 仕事でくたびれて帰ってくる家には、相変わらずキラキラしたひふみがいる 「おめでとう独歩」 5月15日、俺の誕生日…且つ苺の日 オーソドックスな苺のショートケーキと、ホイップクリームの載った苺タルト、マカロントッピングのフランボワーズ 俺カラーのケーキばかり3つ それと、俺の肝臓を労わってのシャンメリー 「ここのケーキのクリームは甘めで、苺の甘酸っぱさと相性がいい」 三十路の男同士で、ケーキを食べさせ合う、なんともシュールな光景 ――でも、俺にとってはなんともしあわせなひとときで 当たり前のように傍にいるひふみ 違う人間、違う顔、違う声、違う性格、違う思考 長い間、変わらず一緒にいられることが当たり前であるはずがない ひふみがずっと元気なら良いな 言葉にしなかったが、俺はこのとき、そんなことを思っていた 2020年の誕生日 |
本当にそんな大した事じゃねぇんだけど、 この前の一件で、俺っちもっと独歩を観察して、 独歩の変化に気付けるようになりてぇ、って思った。 鬱陶しいなんてミクロも思ってなくて、独歩の事、もっと知りたい、理解してぇと思った。 普段ネガティブな面見せねぇ独歩がさ、あんな風に甘えて(?)くれるのって、レアなワケだし。他の人にはあんな風に寄りかかってほしくない。 もっと独歩が素直に甘えられるようなスパダリになりてぇし、できる事は何だってしようと思ったんだ。 |
ここはなにかのときのために… |
伊弉冉一二三の…曲…最高だな ………なんか、怖いけど 【私信】 white2の「Cafuné」の有栖川くん こんな俺の戯言羅列したものを、キミの本棚に入れてくれて…すみませんすみませんすみませんすみません…っ!! …ありがとうございます(深々) |