>「しよっか」 脳天から心臓へと稲妻が落ちた いつだっけか いや、つい最近、先日のことだな 真昼間、しかも会社にいるときだ 無性に、一二三とちゅー……キスがしたくて堪らなくなって 欲望のままに、凄い濃厚なちゅーしたい…だなんて、出勤前のアイツにLINEしてしまったんだ …送ってから、なんてことを俺はって、毎度のことながら後悔するわけだが いつもなら、どっぽちんっ!?(ぴゃっ)ってなるし、今回も俺のことを「お色気担当」だなんだと言って、茶化しでもするもんだと思っていた なのに… 次に端末を開いて見たとき、俺は思わず…マジでその場に立ち竦んでしまった ――え? って いや…そんな反応、初めてじゃないか…? 自分の心臓の音が、会社の廊下に響き渡るんじゃないかと思った さて どうしたものか 書類整理やら、新商品勉強会やら、ハゲ課長にどやされたりやら…そうこうしている内に、帰宅時間はやってきた うろうろうろうろ 恥ずかしくって、真っすぐ家へ帰れん!! ってことで、公園で小一時間 こんなことをしていても、いずれは帰らにゃならん てか考えすぎじゃないのか、俺は 一二三はなんとも気にしていないかもしれない よし、帰ろう 小声で玄関で「ただいま」と告げて、アイツに聞こえても聞こえなくても自室へ直行しようと考えていた ……が、甘かった なななななんか凄い威圧感というか、攻め攻めオーラ背負った一二三が「おかえり」の言葉もなく………(暗転) ま、まぁ…アレだな ごちそうさま……え? PS.動悸が酷かった、です、はい、まる |
コロナも少し落ち着いてきて、夜の歌舞伎町も活気が戻ってきた頃。仔猫ちゃんに囲まれて、シャンパンの香りに包まれて、夜のネオンがやっぱり心地好くて…。 だけど、帰りのタクシーの窓に映る自分の顔は物語ってるんだ。 "寂しい"って。 ……独歩くんが足りないと、僕は雑踏の中で自分を見失ってしまいそうで。 きみが忙しいのは十分承知しているし、それが弊害になんてなったりはしないんだ。頑張っている独歩くんを見ているのは好きだから。 忙しいのに、合間を縫って言葉をかけてくれるのがとても嬉しいんだ。 僕を元気づけようと、頑張ったご褒美にって書いてくれた日記が、本当に宝物みたいな1ページで。 たくさんじゃなくても、きみと言葉を交わせたら、心が安らぐし、僕の居場所はここなんだ、って思える。きみの事が好きだな、ってその度に思う。大切な人。 僕の知ってる独歩くんは、いつも動いていないと落ち着かなくて、人気者で、メンタルがカッチコチだけれど、だけれど…、あの日は珍しく悩んでいて、お仕事だけが全部か?って、自分の中から出てきたクエスチョンに、戸惑っているみたいに見えた。 独歩くんにとっては、アイデンティティや根幹部分を揺るがす厄介なものだったかもしれない。でも、自分の心の声に耳を傾けるって大切だよ。いつも僕を支えてくれるきみにだからこそ捧げたい言葉。 きみが大変な時はいつだって肩を貸すから、寄りかかりたくなったらおいで。 |
所謂、シルバーウィーク 秋の四連休を愉しみにしていた俺だが、一日は出社で三連休に まぁそれでも、普段の社畜具合からすればずいぶん贅沢じゃないか、ありがたい ――と、思っていたのに、どうしても外せない所要で二日取られ、結局一日しか休みにならなかった…という その一日の中の短い時間を、ひふみと過ごしていたときのこと 血尿と胃潰瘍な俺が健康オタクと言われるのは、いかにも似非感があるが、ひふみの肝臓だけじゃなくって、全身の心配は常日頃からしているんだ 最近呼吸が浅い気がするっていうから、一日数回、思い出したときで良いから深呼吸をとか、基礎体温と免疫力の関係とか、そんな話しをぐだぐだとしていた中で、ひふみがふと放ったひと言に、胸がこう…ぎゅっとなったんだ 「メンタルは独歩がいないとボロボロだし」 ………… 残業だらけ、休日出勤もある 社畜極めてぶっ倒れていたり、持ち帰りの仕事をしていたりで、俺は根っからのWORKAHOLIC… だから、ゆっくりどころか、おやすみしか声を掛けられない日だってある だけどひふみは、俺の事情を察してくれているんだろう、そんな日は自室で過ごしている 「どーっぽちん、頑張るのも良いけど程々になー、おやすみー」 明るくそう言って、眠るんだよな わかってる そういう慌ただしい日々のことを「いないと」って言っているわけじゃない 「ニコイチ」な俺たちが、「ニコイチ」ではなくて、欠けてしまうようなときのことを言っているんだろうって それでも俺は、改めて思ったんだ 「俺っちから離れないでよ」 蹲って震えるような…そんなオマエの背を撫でる手を遠ざけたりはしないと ジャケットなしでも、ナンバーワンの伊弉冉一二三でいられる、その日が来るまでは |
さーて、今日は俺っちの独歩の好きなとこをいっぱい書くっつー惚気日記書かせてもらうよーん!仕事にプライベートに忙しい独歩ちんに届きますように。 独歩語が可愛いとこが好き~! 独歩語は種類豊富でこれからも生まれてくる可能性はあんだけど、一つ一つの音が可愛かったり、想像すっとクスッと笑えたり…癒されんだよな。俺っちのお気に入りは分かってるだろうけど、「ぽてぽて」(笑) ふいに送ってきてくれる写真が好き。 独歩がお散歩に出れた時だとか、帰り道の月だとか、育ててる観葉植物の写真を送ってくれるんだけど、それがこう…メッセージ性があったりだとか、俺っちもここ行きたーい!ってなったり、ツッコミどころがあったりで、目で楽しむだけじゃなくて、感情も揺さぶられるっつーか…な。 独歩の作る料理が愛情たっぷりで好き~! 独歩ちんの作る料理ってマジ野菜たっぷりで種類たくさんで、でも俺っちの好き嫌いを考慮してくれてたり…本当にほんわか温かい家庭のごはんって感じなんだ~。独歩が食堂始めちゃったらリーマンのお客さんいっぱい来そうだけど…、俺っちだけのモンでーっすっす! テクニシャンなとこが好き~! これは完やってる時のロルについて、な。独歩ちんは謙遜すっけど、世界ロル選手権なんて大会があったら独歩三本の指には入ると思うくれぇ、上手いんだよな。超絶技巧。独歩と作り上げる完の世界、マジで楽しいんだ~! 匂いフェチなとこも好きになった…(笑) 好きっつか、愛しいっつーのかな…。出会った頃は、独歩のくんくんタイムが激しくて、ひゃわ~!ってなってたけど、独歩って疲れてる時とか、無意識だろうけど、何かしょげてる時ほど、すんすんしてくるっつーか。それがこう、よしよし~!ってしたくなるくれぇ、守ってやりたくなるっつーかさ。俺っちサロンパス貼ってる時は自己申告するな…? 照れ隠しが毎回可愛くて好き~! 俺っちの独歩はいわゆるツンデレ属性なんかな…?ちゅーすると目ギンギンにしたりするとことか面白くて、でも照れててもちゃんと言葉返してくれて、俺っちの方が口説かれる事もしばしば(笑)でも独歩もわりと思った事ストレートに伝えてくれる方で、それがすげー嬉しかったり。 独歩の温かいとこが好き~! 温かいってのは色んな事に言えるんだけど…、例えば独歩が仕事忙しくてバタバタしてる時、合間にお疲れさんってメッセージくれたり。俺っちが体調不良の日の翌日は、朝イチでメッセージくれてすげー心配してくれたり…。そういう言葉かけてもらえんのが嬉しいし、とにかく優しいんだよな。独歩と話すと元気になれて、それはきっと独歩が温かいからだと思うんだ。 どーっぽちん!いつも俺っちの傍に居てくれてありがとな。大好きだぞ~! |
仕事から帰ってくると、ひふみが真剣な顔で、リビングのテーブルの上に並べたパンフレットを眺めていた タイを緩めながら、なんのパンフレットを見ているんだろうと覗き込んだ 「ナイトプール!」 …なるほど ナイトプールな インスタで…所謂「映え」狙いでの人気のスポットだとか、テレビで観た気がする ひふみは良しとして、「映え」要素の微塵もない俺が、そんな場所へ行くなんて、公開処刑も同然じゃないか おおおお俺は、行かんぞ! ――へ? なに? 「貸し切りにするよ、どっぽちん!」 …というわけで、VIPルームや、二人用のバンガロー…のような設備まである、映え極めるシャレオツなナイトプールに、男ふたりで行くことになった まぁ考えてみれば、ひふみはそう簡単に女の子たちがいるナイトプールには行けんしな …海にジャケット着ていくとはいえ その日、俺は残業で待ち合わせ時間にきっちり合わせられなくて、現地集合となった 着くなり、プールサイドでサーフパンツに着替えるという、色気のない生着替えを披露した俺に、ひふみはサプライズを仕掛けてくれた 俺たちカラーのカクテルも、綿菓子と月のお菓子がトッピングされたパフェも…特別感満載 …スターフルーツを、ヘチマか? と言ったことに笑っていたな…はは 泳ぎ疲れたら、……ひふみ命名の「愛の巣(個室バンガロー)」で、プラネタリウムを観ようと言って、大きな浮き輪を出してプールへ 広いプールをふたり占めしてぷかぷか浮かびながら、カクテル片手にいろんな話しをしたな プラネタリウムも良いが、見上げればそこもキレイな星空で ひふみが俺のカクテルの味見をしたいと言った しかも口移しで…って ったく、しょうがねぇな、って誰もいないのを良しとして要望に応えたが―― 案の定、単なる口移しで終わるワケないな 不安定な水面で、男ふたりで浮き輪に寝そべっていれば、そりゃあ、な 大きな水音と高く舞う水飛沫 一瞬にして、無音の世界へ 人魚だったら良かったかもな でも俺たちは人間だ 残念ながら、水中でのじゃれ合いには時間制限がある 水面から顔を出した俺に、ひふみがある場所を指差して言った 「どっぽ、サーフパンツ!」 ……げ ラッキースケベって言ってんじゃねぇ、こんにゃろっ!! やはり俺はとことん「映え」ないなっていう、ひと夏の思い出 |