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眼鏡、汁だくで。
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151 :
仁王雅治
2007/11/30 22:44
夏の終わりはいつも傘をなくす。
6月の雨が降り始めたころに
クラスの傘立てに、いつからあったのかわからないような汚いのとか、ゴミみたいに棄てられていたやつとか、安物のビニール傘が幾つか刺さっている。手持ちがなかったら駅前の百円均一のを買って無くす。
透明の傘は視界を遮らないからありがたい。
雨がたくさん降る頃だけそんなビニール傘とクラスの女子との相合い傘を使い回して、
秋から春先までは、傘を持たない。
朝から降っていたら梅雨時期に買って帰ったビニールのを持って行くし、帰りに晴れていればそれは学校に置いていけばいい。
朝曇っていても降ってなければ一緒だ。学校帰りに降ってれば適当な置き傘を頂戴して帰ってなくす。
今朝学校へ行く途中で降り出した。そのまま濡れて行ったら天気予報を見なかったのかと真田に怒られた。あいつ朝からテレビ見るんか。俺はあんな騒々しいもんをわざわざ自分でつける気にはならん。
(後から聞いたら新聞だったらしい。絶対便所か朝飯の時読むタイプ)
学期末に大掃除があるから二学期になるとクラスの傘立ては小綺麗になって存在感を消しているが、たまに朝から豪勢に色付いているのに気がつくとその日の帰りには大抵雨が降っている。
筋トレだけの部活を終えたらマフラー代わりの黒のでかいストールを広げて羽織って濡れて帰る。特に走ったりはしない。降っていたら降っていた時だから、あまり考えたことはなかったが大体秋冬は小雨しか降らん。と思う。
立てた髪が湿って、水滴が伝って落ちて、前髪が張り付いて、頬を水が滴って
それに何を思うわけでもなく、
別に楽しくもないしセンチメンタルな気分にもなるわけでもないし、
涙を洗い流させる自分に酔うわけでもなくて、
ただ、普通に
雨の日は雨が降ってるから、濡れるんだ。
今は紺色に知らない柄の入った雨傘を使っている。
差すと辺りは暗くなって、上も横も後ろも見えなくて死にそうになるほど気を張り詰めなきゃ使えないけど、だいじ
学校帰りに家に寄って、出るときに
柳生の母さんが持たせてくれた傘だ。
母親、じゃない。
あの女、でもなくて、
クラスの女子みたいに貸してあげる、と言わずに
持っていきなさい、と
面食らって断れなかったのもある。
横の柳生を見たら何か不都合でも、という顔をしていた。
俺の知らない普通、というやつか。
木製の持ち手がいやに緊張を煽った。
駅で返すタイミングがなかった。
家まで持って帰った。
次の日雨だったからそれをさしていった。
帰りは小雨で、返してもよかったがまたさして帰った。
昇降口でピンク花柄の傘が喋る。
仁王がビニール以外の珍しいね。
(思い切り破顔するのを隠す必要は、なかった。)
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