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そこに居場所があるらしいです
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4 :
滝萩之介
2008/11/15 23:41
人の手札を見るのも楽しいかもな。
いつもの帰り道。定期を取り出して改札口へ向かう時、俺の目の前では別れを惜しむカップルが居て彼が見送り彼女がホームへ。なぁに、大した事は無い光景さ。
ただ視界に映ったから見ていた程度だけど、別れ際に彼氏の頬に口付けをして改札口を潜る彼女の後ろ姿を眺めている彼氏。それだけなら普通。
俺も改札口の向こうまで進んだ頃、地下へと続く階段の手前で彼女が振り返って手を振ってたんだ。前を向いて階段を下り始めたと思えばまた振り向いて手を振っての繰り返し。
あぁ好きなんだろうな等とぼんやり。彼女が階段の半分まで下りた頃、当然彼氏はもう見えない訳だが突然振り返って階段を数段上り手を振っていたんだ。
俺まで振り返る訳にはいかないから見えては居ないが、きっと其処に居たんだろう。彼女はとても嬉しそうな顔をしてた。幸せなんだろうと思いつつ、俺は振り返って手を振る彼女を追い越した。
他人の気持ちや考え方は計り知れないが、兎に角好きで兎に角幸せなんだろうとは俺でも判る。
その後の電車内。
割と空いた車内に突如響き渡る声。其の声の持ち主は一人の人に駆け寄っていたが、何かと思えばどうやら懐かしの再開だったらしい。覚えてる？覚えてるよ！なんて嬉々とした会話が静かな車内に響いていた。その再会は言うなればフラッシュかな。２人は良いカードを引いた日だろう。
眠気が押し寄せる頭にほっこりした毛布を掛けたかのように、俺の思考は深く奥に…つまりはその嬉々とした会話をバックミュージックについつい車内で寝た訳だ。
危うく乗り過ごしそうになったがな。そして部室に上着を忘れて帰ったり…どうやら俺の手札はノーカードだったらしい。ザンネン。
ま、そう言う日もあるさ。
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