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らゐご撫で戻り日記
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379 :
跡部景吾
2012/08/23 22:02
図書館に行くときは、あまり前もって借りる本を決めて行くことは、少ない。
行ってから図書館の中を練り歩くというか迷っている間にそれとなく適当に集めて、カウンターに無事戻れたところでそれらを選別して借りてくる。
その日はたまたま、練り歩きながら借りたい本を思いついた。
パソコンで検索するという技術を持っている俺は早速検索をしてみたところ、どうやらその本は「こどものほん」のところにあるらしい。
あそこは、無理だった。
いくら俺様と言えども、あの空間には入れなかった。
まず、本棚が恐ろしく低いので屈まないと見えない。だろうと思う。
何故思うかって、それは「こどものほん」の城が完全にガラスでバリケードされていたからだ。
そこだけ靴を脱いで絨毯の上にじかに座って読めるようになっているらしかった。
この俺に、そんな敷居が高すぎた。
長くその図書館を使ってはいるがそのエリアに踏み込んだことは思えば一度も無い。
そこら辺のガキを捕まえて取ってこいと言えれば良かったんだろうか。
こどもはこっちの世界の本だって自由に取れるだろうに、あれは不公平だろ。
そんな訳で読書感想文に取り掛かっている最中忍足から着信。
どうやら家族で北に旅行に行っているらしい。
40人ぐらいのバスツアーで観光地を巡るんだと。
そんなアイツがホテルからわざわざ何故電話をしてきたか。
「副理事が…居ってん…」
まさかの、ウチのガッコの副理事が同じツアーに居たらしい。
監督ならまだしも理事クラスとなると俺達中学生とは言え何かと気を遣わないといけない。
名門テニス部レギュラーともなれば尚更、向こうに顔も割れてたらしく挨拶も済ませたようだが。
下手なことをすれば今後の進路に傷がつく可能性が無きにしも非ずだ。
正直に、気の毒だと思った。爆笑しつつ。
3日間、頑張ってくれ。
夏の空にひとたび視線を持っていかれるとそのまま戻らなくなって困る。
高くて突き抜けていて雲は気持ちが良さそうで、かといって学校の屋上からアイキャンフラーイするわけにもいかない。
細工ナシじゃ落ちるのもちゃんとわかってるしな。
ただあんなに広い空を見たら、飛べる気にだってなるのも分かる。
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