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らゐご撫で戻り日記
 ┗454

454 :跡部景吾
2015/07/28 00:42

不思議な喫茶店に出会った。
待ち合わせ場所からほど近く、約束の時間まで一時間弱をつぶしにふらついていたところ…薄汚れた看板が奇跡的に視界に入った。
外壁を覆う植物にほぼほぼ入口も隠されて、道端には看板はなくドア上の傘みたいなところにカフェの文字。
ノブを見ると営業中、ドアはガラス張りだが中が暗い上に反射で良く見えない。
少しばかりビビりつつドアを引いてみると、奥で新聞読んでた婆さんとキッチンカウンターに居た爺さんが振り向いた。
至極びっくりした顔で。
どうやら客と認識されていなかったらしくお互いぱちくり状態だったが婆さんが一拍置いて寄ってきて、他に客が居ない店内を見渡して好きな席にどうぞと一言。
おひとり様だったので二人席に入ってみたがこっちの方が広いですよと四人席をおススメしてもらい結局そっちへ。
店内は改装済みか外より大分綺麗で、何だかいい感じの店であることがこの時点でひしひしと感じられる。
さてうだる暑さにやられていた俺は束の間のオアシスにすっかり気を抜いていた。
と、婆さんが水を運んできて、こっちをじっと見ている。じ。
…どうやら注文を促されている、ようだがどうしようか、メニューが無い。
カフェ、ラテのようなものはアリマス、カ。とちょっと緊張気味に言ってみた。
間を置いて、カフェオレなら、と返って来た。上出来だ。じゃあそれを、と頼んでまた涼む。
キッチンの方では婆さんが、爺さんに何度か同じことを伝えていた。
程よい大きさで流れてるラジオを聴きながら待ち合わせ相手へのメッセージカードを書き終わる頃、婆さんがお盆を持ってやってきた。
小さいプリンが乗っている。
サービスです、とのこと。
こ、これは…!下町の小さい珈琲屋ならではの粋な計らいって奴じゃねーの?
ありがたく頂いて、ゆっくり時間を過ごさせていただき、惜しくも時間となったので会計。
アレな。
メニューもレシートも無かったのではっきり言ってプリンが本当にサービスだったのかよくわからねえやつ。
なかなか良かったと伝えたところ自家製だと言った婆さんの顔が嬉しそうで何か良かった。
爺さんも最後は顔を上げてくれた。
この緩さが本当に心地よかった。
通い詰めたいが遠いのが残念。
来月にでもまた行こう。

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