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⊂恋は★全力失速⊃
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110 :
忍足侑士
2006/11/25 04:19
それは焦燥や。
伸ばした手が届かへん。
誰もが傍を擦り抜けて素通りしていく。
酷い騒音と脳内に響く警鐘の中で一人、唇を閉ざし押し黙る。
藻掻く。
真綿を紡ぐような。
欲しくて泣いてるんやろ?
子供のように。
理屈を知り始めた、そんな子供のように。
手に入れたたった一つのかけがえのないものとその他全ての世界を、天秤にかける。
常に付き纏う温度差に嫌悪してるんや。
圧倒的に低いんは、俺。
温かく優しいその手に、冷え切ったこの手が触れてええ筈もない。――そない言い訳を紡いで、見ようとするのは大海。
吐き気がする。
熱さを伴わないぬるい温度に、冷えたままの指先は。
いっそ火傷する程の熱さで罪に苛む肌に癒えない痛みを刻んでくれたらええのに。
何が欲しいのか。
答えは未だ。
存在しないそれを探しながら、焦燥ばかりが募る。
澱む静謐が満ちる。
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