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静かの海
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31 :
不二周助
2008/02/25 11:50
>お土産
まあ、彼が頑張っている間、奇しくも僕が東京を離れる事になってしまって、「ただいま」を言うのはいつも通り僕の役割になった。…勿体無い事したなあ。
でも彼に「おかえり」と迎えられるのは正直、好きなんだよね。ほっとするっていうか、やっぱり帰って来たんだなって実感が湧く。
それにしたって彼ときたら、隣を空けるのは土産次第だなんて、資産家の息子の台詞じゃないよね(笑)
どんなにか「お土産は僕だよ(はぁと)」ってやってやろうかと思ったけど、やめた。彼なら本気で嫌がるどころか、僕が熱でもあるんじゃないかと心配しそうで。
ノってこられても気持ち悪いよね……あ、今鳥肌が。
結局、コンフィチュールで手を打った。今来ている場所がコンフィチュールや蜂蜜の有名なお店がある所なんだ。
デニッシュに塗ってよし、紅茶に入れてよし。スコーンに塗ってもいいかな。その辺は彼のチョイスに委ねよう。
味を選ぶのに少し試食させてもらったんだけど、スパイスが入っているものは甘さも控えめだし何より斬新な組み合わせだったよ。
もう少し後の時期なら桜の蜂蜜が店頭に並ぶみたいなんだけど、残念。花見をしながら桜の蜂蜜を味わうのも一興だと思ったんだけどな。
…彼に言うと、取り寄せてしまいそうだから言わない。こういうのは現地で買うから面白いんだよ。
何でもかんでも取り寄せられるこの時代は便利だけど、その分旅先での思い出と共にその地の名産をって意識は薄れてきてるような気がするんだ。
食べ物もそうだね。一年中食べられるのは嬉しいけれど、やっぱり苺は春先に食べたい物。旬を味わいたいよね。
ああ、ちなみにこれも彼には言わない。ヘリだの自家用ジェットだのを駆り出されるのは嫌だ。普通の、旅の行程から楽しむものなんだよこういうのは。
>バトンや私信
は、家に帰ったらゆっくりと。皆有難う。
地味に地味に、テンションも低めに淡々と綴っているこの場所なんだけど、見てくれているのは純粋に嬉しいと思うよ。
僕はあまりテンション高く大はしゃぎする性格でもないし、日記もそれに準じているんだけど、賑やかな日記を読むのも好きなんだ。
可愛いなあ、楽しそうだなあって、ついにこにこしてしまう。…悪趣味かな。でも楽しそうにしている姿って、見ているこっちにもそのパワーが伝染するよね。
楽しければ楽しさが、嬉しければ嬉しさが、哀しければ哀しさが。
僕のこの日記は、読んでいる人にどんな印象を与えるんだろうって、今更ながら少し考えた。
だけど考えてもいまいちピンとこなかったから考えるのをやめた。いつか解る日がくるとしたら、それは僕が僕を客観的に理解した時のことだろうね。
自分を完璧に客観視できるほど大人にはまだなれない。ゆっくりといこう。
でも、そうだね、今はもう昔の事だよと笑ってしまえる過去のあれこれを綴っていくのも、自分を見つめなおすきっかけになるのかもしれない。
僕を僕たらしめた、通り過ぎていった人々や時間の話。
何だろう、今ふと思った。人間は彫像みたいだって。流れる時間や触れ合う人々によって削られて、そうして自分を形成していく。
だとすると、僕は今何割ぐらいの完成度なんだろう。硬い素材かな、それとも柔らかい?柔らかい方がいいかな、強い力にも砕ける事なく在りたいから。
勿論、ヒビが入ってもそのままでいるつもりはないけれど。
きっと避けられない亀裂だって、誰かのやさしさや愛情が隙間に流れ込んで、満たして埋めてくれるものなんだって思うよ。
さ、そろそろ出発かな。
叔父さんも心配してた程ではなさそうだし、裕太も早く帰りたがってる。今から出発すれば放課後の練習には間に合うからね。
それじゃ、これは一旦鞄に仕舞って、と。無事に帰れますように。
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