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静かの海
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464 :
日吉若
2009/03/28 03:07
時々あの人は俺を抱き締めたまま固まる。深く溜め息を吐き、名前を呼ぶ。
疲れている時の特徴だ。
俺と共に生きると決めてから、あの人はおそらく無駄な心労を負う事になった。
用意された道を捨て、己の手で切り開く事になってしまったからだ。
この部屋は俺達の小さな砦のような物で、ささやかに身を寄せ合っている。
あの人が疲れている時、たまに、申し訳なく思う。俺を選ばせてしまった、と。
だが、あの人は俺がいればいいと呟く。
俺がいる事といない事、どちらがあの人のためになるのか。考えてもやはり解らない。
俺に解るのは、俺が原因であの人を悩ませる事もあれば、あの人を癒せるのもまた俺だという事ぐらいだ。
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