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静かの海
 ┗473

473 :日吉若
2009/04/14 00:15

身辺が実に慌しい中、時間を割いてくれる人がいる事の幸福を噛み締める。
綺麗だとは思うが、身辺で咲き、散り行くそれを特別な感情を持って眺める事はしていなかった。
鼻先を掠める春の香りや、長閑さから徐々に強さを増す日差しに気を取られつつ、
忙しく過ぎる季節を足早に通り過ぎるのが常だったが、今年の春は少しだけ花を仰いでみようという気にさせられた。
そうして気を改めて眺める桜は、確かに美しいと感じた。何故か、背筋を改めてしまうほどに。

うちの母は花を愛でる人だったが、何故か花が長持ちしない家だった。
買って来た鉢植えという鉢植えは一年限りで枯れてしまう。どれほど世話をしても、だ。
俺の記憶の中で、家で育っていた花といえばチューリップぐらいだろうか。
小学生の頃は、よく切花にしたそれをクラスに持って行かされたものだった。
花を抱える様が似合わないせいか、初期はよくはやし立てられたのを覚えている。それも回を重ねる毎に減りはしたが(殴ってはいない)。
今でも白とピンクの混じるチューリップを見かけると、朝に割烹着姿の母が小気味よい音を立ててその茎を切る光景を思い出す。
新聞紙に包んだこれから徐々に死んでいくそれは哀れであるはずなのに、何故か俺の目にはひどく輝いて見えた。


…やらなければならない事がある時ほど日記を書きたくなるのは何なんだろうな。
遠征に持っていくグリップテープ一式はどこだ。参った。

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