top
┗
静かの海
┗485
485 :
日吉若
2009/05/07 03:02
日々が慌しく過ぎていく中で、取り零した物も多いように感じる。
それでも今を必死に足掻いていくより他はなく、そうして意識的に、無意識的に、俺達は日々選択を続けていくんだろう。
悔やむばかりではなく、時折はそういった選ばなかった選択肢に想いを馳せてみる事も、けして無駄ではないと思っている。
例えば、今。あの人を選ばなかった時の事を考える事で、あの人と過ごす今の大切さに気付く事が出来るだとか。
離れると好きだと思う、と先日あの人が呟いた。
互いに離れている間に互いの事を考えて、そうしてまた一緒にいたいと感じる。寂しいと感じる事も、そう悪い事ではないんだろう。
外が寒いからこそ家の中の温もりを感じるように、あの人の胸に頬を寄せる瞬間の、あの力が抜けていく感覚は、ずっと傍にいればきっと実感出来はしない。
最近は随分と様々な事が目まぐるしく、思っていたよりも疲れていたようだ。
つい先日、あの人とほんの少し遠出をした。
俺の好きな場所に連れて行って貰い、夜には静かな、互いの出す音以外は何も聞こえない場所で過ごした。
その時ふと、久々に涙腺が緩むのを感じた。
ああそうか、俺は幸せなのか、と。
穏やかな時間のせいで今まで張っていた気が緩んだのか、涙腺もそれに追随したらしい。
朝起きて傍らで眠り続ける顔を眺めて髪を撫でていると、ひどく穏やかな心持ちになる。
この場所を許される今は、なんて稀有なんだろうか。
[返信][
削除][
編集]
[
Home][
設定][
Admin]
