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静かの海
 ┗498

498 :日吉若
2009/07/18 20:34

理性では駄目だと解っていて、感情や体が暴走する事がある。

例えば風呂前や寝起き。
身支度もろくに整っていない状態で求められると、まず頭が拒否をしたがる。
頭はあくまで理性的に、こんな状態で抱かれたくないと考える。それでも、だ。
あの人の手が普段の穏やかなそれとは違う手つきで肌を這い回り出すと、次第に理性は磨耗していく。
俺の理性なんざ容易いモンだと思う。ほんの少し掌が肌の上を往復しただけであっさりと崩れていく。
嫌か、と聞かれて言葉に困るのは、理性と感情がせめぎ合うからだ。
するべきじゃないと考える理性と、あの人を欲しがる感情。
二つがぐらぐらと揺らいで、言葉に詰まる間にもあの人の手が徐々に熱を高めていく。
酷い人だ、とたまに思う。
有無を言わさず流してくれれば、自分の浅ましさを恥じる事もせずに済むのに。
あの人は、俺が欲しがるまでは理性を壊してはくれない。あくまで俺に選ばせようとする。
未だ理性が残る状態で、体の欲に陥落するのは酷く情けなくて、居た堪れない。
欲しいと認める瞬間は、羞恥心で死にたくなる程だ。
理性だけなら容易く拒否も出来るだろう。感情だけなら容易くあの人を欲しがれるだろう。
そのどちらもが俺の中に同時に存在してしまうからこそ、板挟みで酷く苦しい。
負けてしまえ、と唆すあの人の手に体が疼き始めるともう駄目だ。
どうせ最初から分が悪いんだ。
何もされなくても、感情はあの人を欲している。
理性で押し留めているだけのそれを後押しされれば、負けるのは解りきった事だろう。
あの人は、そこにそうしているだけで、ずるい。


2009.12.17編集

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