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静かの海
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499 :
日吉若
2009/12/24 05:35
さて、いよいよ俺が書くページはこれが最後になります。
新しく日記は持たない、と言ったものの、恋人からのお強請りについに根負けしました。
というか、あれだけ筆不精なあの人に対して過酷な条件を突きつけたので、クリアの褒美としてはそこまで法外なモンでもないんでしょう。
一応、これが終わったら新しい日記も持とうと思ってます。
さて、最後のページですが、やり残していたバトンのついでに、昔話でも。
> その昔、「I LOVE YOU」を夏.目.漱.石が『月がキレイですね』と訳し、二.葉.亭.四.迷は『わたし、死んでもいいわ』と訳したと言います。さて、あなたなら「I LOVE YOU」をなんと訳しますか?もちろん「好き」や「愛してる」など直接的な表現を使わずにお願いします。
いつだったか、「月が綺麗ですね」とあの人に言った事がある。
学校から直接、いつものスポーツジムに向かう最中だっただろうか。
少し遅くなった部活の後、あの人の家の車に乗り込み見上げた月があまりにも大きく、綺麗だった夜だ。
知っているのか、知らないのか。それとも知っていて気付かないのか。
あの人がどんな態度を取るかは賭けで、ほんの少しの悪戯心からくる発言だった。
結局、あの人は気付く事もなかったし、どう反応されたのかは覚えていない。
ただ妙に赤みがかった月を見上げた後に見たあの人の横顔を、ぼんやりとだけ覚えている。
この人を好きになる、と確信めいた予感がした時に絶望的な気持ちになったのを、今でも時々思い出す事がある。
距離が縮まり始めた春、あの人は俺にこう言った。
「夏にはここにいないかもしれねえ」
まだ確定はしていないが、と話すあの人は、だから恋人は作らないのだと俺に語った。
初めて聞いた時は、物足りなくなるなと思った。それと、随分と真っ当な人だなと、そう思った。それだけだった。
遊び人のような風体をしていて、駆け引きが得意そうな様子をしていて、実は全く違っていた。
意地が悪いのだけは見た通りだったが、それでも随分と、あの人の優しさは真っ直ぐだったように思う。
他の奴には話せなかった、話さなかった事まで、いつの間にか口をついて出ていた。
太陽のような人だ、と思った。
縮まり、外套を必死に体に巻きつけるように前に進んでいた俺を、力ずくでは無しに丸裸にした。
外面、という物をいっそ馬鹿馬鹿しく思うぐらいに、あの人と過ごす時間は心地よかった。
次第に他との付き合いは疎かになっていった。
恋愛体質だったわけじゃない。恋人に求める物、友人に求める物、仲間に求める物。
それら全てが、あの人で満たされてしまったが故だ。
他の誰と話すよりも、他の誰の隣で眠るよりも、ただあの人の隣は心地よかった。離れがたいと思った。
恋人という肩書きと権利を手に入れてから、一年半近くが過ぎましたね、部長。
相も変わらず、俺にとってはアンタの傍が一番心地いい。
陳腐な言い方をしちまえば、「出逢ってしまった」んだと思う。
アンタより強い人間は他にもいる。
それでも俺が乗り越えたいと願うのがアンタ一人だけなように、アンタより何かが秀でてる人間なんて、探せばまだまだいるんでしょう。
でも、俺にとってアンタ以上の男なんざいやしない。アンタ以上に俺を幸せにしたり、魂を揺さぶる人もいない。
朝起きれば当たり前のようにアンタがいて、学校では当たり前のように先輩面をしていて、家に帰れば当たり前のように甘ったるいキスが待ってる。
当たり前を積み重ねる度に、その当たり前の稀有さを感じる。
稀有な存在が当たり前のように存在する日常を送っている今、これ以上の幸せなんざどこにあるんでしょうね。
何よりも焦がれて堪らない人が、いつも傍で俺を見ている。
欲するだけじゃなく、欲される。
今までの全てを覆すような幸せをくれたのは、アンタだった。
いつだって、アンタの名前を呼べる距離にいたい。
アンタが傍にいない時、アンタが眠っている時。聞こえないと知りながら、声には出さずに名前だけを呼んでいる時がある。
それは多分、アンタがいつだって俺の一番近くにいるからなんだ。いつも一番近くで、アンタに焦がれ続けてる。
だから部長。いつだって誰より近くに在り続けて下さい。
何をしていても、俺はいつもアンタの傍にいる。
「I LOVE YOU」を訳すのなら、やっぱりこれでしょうね。
アンタになら聞こえるでしょう?
>「跡部部長」
499の俺の時間を、アンタに。
2009.12.24 日吉若
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