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静かの海
 ┗500

500 :跡部景吾
2009/12/31 23:51

最後のページを書くのはいいが、読書感想文は昔から苦手だ。
巧く纏められる自信もねえし、昔話で半分埋める事にするぜ。懐かしく読んでくれ。



何がきっかけで部活外の時間を共に過ごすようになったのか。それを思い出すのは記憶に遠く難しい。
ただ、恋心より先に、ゾクゾクする様な痺れを求めてお前と話していた事だけ覚えている。
お前の無愛想な視線が蠱惑的で、不意に逸らされる瞬間が堪らなく好きだった。
共通言語の多さに惹かれた事も事実だが、不純な動機がなかったと言えば嘘になる。
ストイックな雰囲気を持つお前の輪郭を、触れるでもなく、近くで見ていたいと思った。部活の時も、プライベートも。
あれは冬の終わりだったな。

それが崩れたのは、お前の内側に触れたと感じた瞬間からだろうか。
凛とした強さと、隙間に垣間見える脆さ、その相反する性質に身体より心が惹かれた。
あの海の日、繋がったと感じたのが俺だけじゃないなら、やはりこの関係は予定調和だったのだと思う。
動き出した列車の中にいながら、駅に戻ろうと車内の最後尾へ走るような、無意味な抵抗を感じていた。
途中下車していたら、俺達は今頃どこにいたんだろうな。

自分の中にこれほどの熱情が眠っていた事が心底意外で、触れるより早く人を愛した事も初めての経験だった。
キスをしたのは、春が終わりそうな夜だったと思う。流石にこれは覚えてるだろ?
そこからはもう崩れ落ちる様に肩書きを手に入れて、隙間を埋めるように繰り返しお前を抱いた。
その過程で、会話の中で、俺は何度か泣いたと思う。お前にわざわざ伝える事はなかったが。
心臓から満ち溢れ止まらず、掻き毟りたくなり、吐き出したくなり、ただ見つめていたくもなった。
ただひたすらにお前が好きだと思った。お前さえいればもう何もいらない、と。

瞬く間に夏が終わり、秋が来て、初雪を同じ部屋から眺めた。そうしてまた出逢った季節を迎えた。


全く同じ春が二度は巡らないように、俺達が互いに抱く感情も変容してきていると思う。
恐らくはこの先も変わっていくだろう。それはもう当然のようにな。
だが、俺はきっと、四季を愛でるような感覚で「今」のお前を愛している。
過去も未来もなく、お前がそこにいるというだけで世界が満ち足りていく。

『いつか冷めてしまったら。飽きてしまったら』
そんなお前の呟きすら、心臓が潰れちまう程に俺は愛しいんだ。それがちゃんと伝わっているだろうか。
ネガティブなお前も、ダメなお前も、弱いお前も、俺にとっては等しくお前だ。変わり行くお前も。
だからいつでも俺の傍で、野暮な話を聞いて欲しい。不安になる度に問い掛ければいい。
俺がどれほどお前を愛しているのかを。
お前が恋人になってからずっと、幸福を感じない日はない。


…なんて言葉も毎晩お前に聞かせっぱなしだな。面白味に欠けるか?
それじゃ最後に。俺も「I LOVE YOU」を和訳するから、俺達のコードで聞いてくれ。




>「日吉」


(ここまで書いて思い出したが、俺が得意なのは論文だけで、レポート用紙も燃やしたくなるほど嫌いだった。
この程度じゃお前は物足りないか?…そうだな、不足分は俺のベッドで聞いてくれ)

2009.12.18    「Aについて。」  跡部 景吾

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