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リリィ、
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116 :
跡部景吾
2010/09/25 20:39
気付いたら奴は俺様の背後に立っていたらしい。
集団の輪の中。無闇に振り返る事も出来ずに、俺様は周囲の奴らの話に合わせ、顔には愛想笑いを貼り付けていた。背後に立つ人物が誰なのかは分からねェが、その気配は明らかで、まるで俺様の影が人間の形を作り、ぴたりと纏わりついている様だったのを覚えている。
話をしていると言うのに、周囲の声はまったく持って耳に届かねェ。いや…届かなかったんじゃねェ、初めから音なんざ聞こえちゃいなかったと言う事に気付く。なのに不思議だ。自分の声すらも聞こえちゃいねェのに、奴の声だけは鮮明に俺様の耳へと届き鼓膜を震わせる。
#「どうしてもっと俺をちゃんと見てくれないんですか?」
ああ、奴は男か…と思うのと同時に、想像していたよりも遥かに近い距離で聞こえたその声に、正直驚きを隠せなかった。顔に貼り付けた笑顔の裏では、確かに何かを必死に考えていた事だけは覚えちゃいるが、其れが何なのかは思い出せはしない。
>「もう我慢出来ません。限界なんです。俺の気持ちは気付いているんでしょう?」
続いた台詞に心当たりはまったくなく。振り返って文句の一つでも言ってやろうと心に決めたその矢先、奴は俺様の右腕に触れてきやがった。肘の括れを指先で撫ぞり、指の腹を滑らせて手の平へと辿り着けば、まるで当然かの如く指を絡めて手を握るソレに、些か不快感と嫌悪感を抱いたのは言うまでもねェ。ここは人が密集している中心だ。下手に身動きも取れねェし、腕を振り払えば隣に立っている上品な雰囲気の老女に当たってしまうだろう。
しかしそれを良かれと奴は思ったのか、行動はエスカレートしやがった。背中からは奴の体温が伝わり本当に貼り付いているかの様な感覚を覚えた。奴は俺様以外には分からねェのか?と疑問に思ったが、同時に尻に違和感を感じた。その存在をまざまざと誇示するかの様に、奴は執拗に腰を押し付けてくる。奴の息が上がっていて、酷く興奮している様だった。それが何なのかくらいは想像がついた。
が、俺様は冷静だったらしい。何故かって?そりゃあ決まってるだろ。その感想が、
>小さいな。
だったからだ(ふっ←)漸く振り返って見えた奴の顔……コイツは鳳じゃねェか、と思った矢先にハッと目が覚めた。そうだ、また夢の話だ(笑)
練習中、文化祭の打ち合わせで遅れてきた後輩目掛けて、手にしたボールを豪速球で投げたのは言うまでもねェがな、(ふん)
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