top
Geist
 ┗136

136 :幸村精市
2010/01/09 01:30

 深夜。
 学校と部活と自己練習を終えて部屋へ戻ると、ベッドを占有していたのはブン太。TPOをわきまえない彼の傍若無人ぶりが愛しい。髪を撫でてから彼の体温で暖められた布団へと潜り込んだが、冬の夜道で冷えた手足をくっつけては驚かせて起こしてしまうだろうと、抱きしめたいのを我慢してベッドの端に身体を横たえた。だが、聞こえてくる小さな寝息と共にさりげなく此方の身体分空けられた大きさのスペース。ブン太が身体全体で平気だと言ってくれてるのが嬉しくて、おずおずと冷たい手足を伸ばした。…暖かなブン太の体温。空っぽで多忙を極めている俺の中に満ちてくる温もりと優しさ。あぁ、これは命の重さなんだとふっと思った。この暖かさや優しさや寝息はきっと命の重さなのだろう。そして、俺はなんて重い温もりを手に入れたのだろう。もし『幸せを量る天秤』があったとしたら、俺の手の中にあるブン太の重さは、きっと世界一、いや、宇宙一だろう。

 ダイスキだよ、ブン太。大好きという言葉だけでは充分に伝えられないけれど、大好きだ。

 病院でのリハビリだけで鍛えた筋力ではまだ不十分だと焦っている時も、復学して部活に打ち込み、ブン太曰く『幸村くんのテニスは見ていてなんか…胸が痛くなる』とまで評された訓練をしている時も、ひたすら前だけ、上だけを目指す毎日の中でも、きっと、ブン太。お前だけが俺と世界を繋ぐ唯一の架け橋なのだと思うよ。お前がいるから、俺の中に喜びや痛みや嬉しさや悲しみや楽しさや痛みといった人間らしい感情が生まれるのだから。初めて体験する『感情』というヒトの心にあるらしきモノ(…)は、とても脆くてもどかしくて、たまに御しきれない時もある。けれど、走ることや泳ぐことを覚えた子供が、失敗しても、走ることや泳ぐことを喜んでいるのと同じように、俺も、感情が動くことがとても楽しいんだ。ブン太と喧嘩をしたり、ブン太と笑い合ったり、ブン太と睦言を楽しんだり、ブン太と涙を零し合ったり。……俺にとっては全てが初めてのコトだから。無邪気なブン太が見せてくれる世界がとても楽しい。ブン太の我が儘ツンデレぶりがとても可愛い。

 …………というか、つまりは俺の世界は全てブン太で埋め尽くされてるというコトなんだと自覚した。明日の天気『一日ブン太晴れ、時々ブン太の我が儘が小雨となって降り注ぐでしょう』とか、ブン太天気予報が出来る位。あ、地図ナビだって『ここを30ブン太メートル進んだ先を右折するとブン太交差点前ブン太オフィスです』みたいな。地名はブン太国ブン太町ブン太番地でいい(……)。

夜。つれづれとブン太の寝顔を見ながらブン太について妄想してる時が一番幸せな気持ちになるよ(笑)。ちゅ。……ふふ、俺の起動が開始が早いって?俺を誰だと思ってるの。神の子と呼ばれた男だよ?(くす)

[返信][削除][編集]



[Home][設定][Admin]

[PR]♪テニミュ特集♪(携帯リンク)

WHOCARES.JP