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口唇シンセサイザー -Le Monstre-
 ┗10

10 :忍足侑士
2010/05/06 14:00

冬の朝がよく似合う彼は、最初から最後まで随分と優しかった。
俺はそないにタフでも丈夫でもない。せやから、夢が必要やったんよ。叶わない夢だとしても、な。そういう意味で彼は酷く機知に富んどったし、人の情緒に敏感やった。
透き通った、綺麗な人やったよ。その優しさに助かったんやろうねえ。結果的に省みて。正しい、判断やったんやろう。俺が望んだ結果とは違うかったんやけれども。寂しくないと言えば嘘になる。俺は彼に違う意味での好意を抱き続けとるけれども、彼が俺を良く思っているのかいないのか、そこから分からんさかい。

沢山の約束めいたことを告げた。否定もせずに話に乗ってくれた。クリスマスに食べたいもんやらバレンタインのお強請やら。どれも叶わんことは知っとったけれども、彼は束の間の幸せを壊さんでくれとった。否定せんで話に乗ってくれとった。俺も、分かっとるつもりなんよ。強制なんかせえへん。これは叶わないことが前提の、やり取り。戯れやて分かっとってくれたから。確かに、現実になれば嬉しい。せやけど、それは叶わんことを了承した上で沢山の来ない未来の話をした。駄々っ子と、優しい母親やね。まるで。幼児と優しい大人。仰山、甘えた。分かっとって甘えた。あちらもそれを分かっとった。そして、俺がそれさえも分かっとって甘えとったことも。世話を焼くことで沢山、甘えた。世話を焼かれることで沢山、甘やかして貰うた。


幸せな、日々やった。束の間の、ほんの短い間の幸せな日々。

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