top
┗
口唇シンセサイザー -Le Monstre-
┗15
15 :
忍足侑士
2011/03/04 13:30
>>「馬鹿な女ね、」
冒頭の科白からコンマ一秒。動揺に刹那、頭が真っ白になったのはどう仕様も無く。火掻き棒で腸を掻き回されとるかのような羞恥を呑み込んで胡乱な視線を横に投げ掛ければ、比較的大人しゅうて目立たないタイプのクラスメイトが居た。(…彼女は俺の隣の席やさかい、居て当たり前なんやけれども。)同じ硝子越しの瞳は爛々と輝いており、何処か危うい。
>>「気付いてないの?」
俺が沈黙を貫いとることをどう捉えたのか、綺麗に整えられた柳眉を歪に歪める。(嗚呼、よお見たら結構整った顔立ちをしとるなあ。)彼女の視線の先を見る勇気は、無い。小さく頭を振って否定を示した。
気付きたくはあらへんかった、未だに無駄な悪足掻き宜しく認めてへん。そないな俺の心中を察したのか否か、彼女は頬杖をついて俺から視線を逸らした。
彼女はそれきり何も言わんかった。ただ時折、隣から憐れみにも似た視線が注がれるだけで。不自然に曲げられた俺の視線は、それを視界の端に写すことを良しとしない。
――…つい最近の、出来事。
[
返信][
削除][
編集]
[
Home][
設定][
Admin]