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794.寿司好きのシェパードとかき氷の森(保存)
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164 :
eたoいhちeょoうh(実/況)
2016/01/26(火) 06:41
軍隊の定年は一般人よりも早い。なんでかってそりゃ軍隊だから。戦死するヤツもいっぱいいるけど、定年退官するヤツも居ないことはない。指揮官とか上の階級のヤツになるけど。そんな定年退官するジジイのうちの一人の話。
確か名前はボブ。そのボブは退役する前からファンキーなジジイで有名だった。年明けに新年会だと言って駐屯地内で豚汁作り出して配ったり、若かりし頃のき大っく将んの昇進を手伝ったり(>>45)、駐屯地のお祭りの際に一人で出店して莫大な売り上げを叩き出したり(この話はいつかするかもしれない)、なんて色々な伝説を作り上げていた。そんなファンキーボブの話。
あ軍ろ医まが突然言った。
「今度ボブの告別式があるんだけど」
「……は?」
渡されたのは、一枚の紙切れ。それは死亡診断書でも何でもなく、『告別式のお知らせ』という紙だった。
「……ボブ、死んでないじゃん」
「ブラックジョークだよ」
「笑えねえ……」
そう。告別式、と言いながらもボブは死んでいなかった。今度定年退官するボブは殺しても死ななそうな位ピンピンしていて、この告別式はボブの為の送別会らしい。告別式という名称は『ボブという軍人は定年退官により居なくなるから』だそうだ。
「参加費500円」
「安いよな」
「酒飲めるし行こうぜ」
別に酒に興味は無かったけれど、俺は頷いた。ボブには何かとお世話になっていたし、最後に言葉を交わしておきたかったのだ。その告別式で酔っぱらったボブが脱ぎ出したのも良い思い出である……おそらく。
「皆さん、お世話になりました」
迷彩服でも軍服でもなく、ぱりっとしたスーツを見に纏ったボブはまるで一般人のようだった。訂正しよう。一般人のようではなく、今日からボブは『一般人』なのだ。背筋はしゃんとしていて若く見えるが、深く皺の刻まれた顔は確かに歳月の流れを感じた。その顔は柔和に微笑んでいて、少し見ないうちに丸くなったんだろうかと思った。
少し前に流行ったポップスの曲が流れ、皆が花道を作って拍手する。ボブが通る度に敬礼したり、握手したり、何か言葉を交わしたり。泣いている人は一人も居なかった。ボブも笑っている。しまいにはとっとこ走り出して皆が通り過ぎるボブに慌てて挨拶していた。
話は少し逸れるが、定年退官した人は大抵ボストンバックなど大きな荷物を持っている。なので、見送った後は車に乗って去っていったり、またすぐ戻って荷物を持って駐屯地を去るなどそういうのがほとんどだ。
「バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!」
ボブが見送られる。ボブはどうやって去るのだろうか。皆が見守るなか、ボブの元部下が現れ、ボブの花束を受け取り、ヘルメットを手渡した。ボブはヘルメットを被る。いつの間にか大きなバイクが置いてあり、後ろには大きな荷物と花束が括り付けられていた。
「またな」
ボブは慣れた手付きでそれに跨がり、ひらりと手を振るとエンジンをふかして走り去っていった。しかも、戻ってくる様子はなく、本当にこのままこの駐屯地から去るつもりらしい。
「おいおい……マジかよ」
それを呟いたのは俺かあ軍ろ医まだったか。全員が呆気に取られている中、静寂を破ったのはき大っく将んだった。
「ギャハハハ!あのジジイ最後までやるねー!」
その声で、皆はザワザワと話し出した。その声はボブを称える声、呆れる声色んな声があったけれど、決して否定的なものは無かった。
「……寂しくなりますねぇ」
ぽつりと、え新ふ参び兵ーが言った。
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45 :
eたoいhちeょoうh(実/況)
2015/10/07(水) 17:20
外の芝生で日向ぼっこしてたら、き大っく将んがやってきてパンプキンプリンをくれた。最近秋っぽいスイーツが多くて密かに嬉しかったりする。
二人でプリンを食べながら雑談をする。
「き大っく将んってどうやって偉くなったの」
「なんだ突然!」
「こんな厨二病がトップだなんて軍も末だなと」
「ひどくね!?俺だっていつもふざけてる訳じゃないもーん!」
ぐえ、と変顔したき大っく将んだが、真面目に気になってもいた。いくら有能だとはいえ、若くして大将という座に登り詰めるのは普通では到底不可能なことであるから。
「昔一発芸大会あったじゃん?」
「ああ、あったな」
「当時のトップが『優勝したら何でも一つ言うことを聞く』って言ったんだよ」
それで僕ちゃん気合入れて優勝しました!とドヤ顔で言ってきたが、無視して続きを促す。
「当時の俺は幹部なりたてほやほやの3尉だったんだけど『3佐にして!』とお願いしたのです!そして、昇進しました!」
「……マジで?」
「マジ」
その時は納得しちまったけど、もしこれが本当の話だとしても、昇って3佐……少佐までである。つまりそこから上は実力という訳だ。どちらにしろ疑わしい話だった。