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794.寿司好きのシェパードとかき氷の森(保存)
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eたoいhちeょoうh(実/況)
2017/03/05(日) 16:09
初めて銃を持った日のことを思い出す。
「今日からこれがお前の銃だよ」
入隊初日、そう言って隊長の蘭伝た説んから渡されたその銃は今まで平穏の中で暮らしていた俺にとってとても重く感じられた。後ろに下がって、まじまじとそれを眺める。
俺の銃。持ち手や銃床部は木で出来ており、使い込まれた形跡があった。他は金属で出来ており、くすんだ色をしていた。だが、手入れがしっかりされているのだろう、古ぼけた感じはあるものの錆は一つもなくずっしりとした安心感が手の中にあった。銃番号は568568、なんとも覚えやすい。
それから新隊員の教育期間中、俺の銃は常に側に居た。寝食を共にした。
初めて射撃したとき、俺はなんと感じたろうか。多分緊張していたと思う。戦場ですらない、ただの射撃練習だ。だが、一つ間違えれば暴発、死ぬかもしれなかった。拙い動きで行った射撃は散々な結果だった。俺は大事に大事に射撃後の手入れをして、俺が生きていることと俺の銃の重みを改めて感じた。
俺の銃568568は今は俺の手元には無い。時代の変化により、最新型の銃が配布された為だ。他の奴等が持っていた同じ型の銃と共に俺の銃も回収され、廃棄もしくは他の後方支援部隊へと再配布された。
「え新ふ参び兵ー、お前の思い出の銃って何?」
「んー、ワカサギ号ですかねえ」
「はあ?」
聞けばワカサギ号とはえ新ふ参び兵ーが最初に貰った銃の名前らしい。銃に名前付けるってお前……。
「俺の教育隊の隊長がそういう人だったんですよねー銃に名前をつけて、愛着を持てって」
んふふ、とえ新ふ参び兵ーは曖昧に微笑んだ。
俺はまた初代俺の銃のことを思い出した。名前は、俺の銃。俺も大して変わらない人間であると思い直した。
ワカサギ号エピソードについては、また後日。
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