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141 :
米
11/18-03:13
閲覧注意※
自虐、悲愴、その他
どうしてもっと大事に出来なかったんだろう。俺には過ぎた優しい人だった。失ってから気付く云々とは決まり文句のようなものだけれど、俺はきっと一緒にいながらどちらかと言うと解っていた方だった。彼がどんなに健気で俺好みだったか、最初から俺は確かに自覚していたし掛け替えがなくて絶対に失えないと思っていたよ。それなのにどうしてもっと大事に出来なかったんだろう。どうして彼の望むことを聞いてきちんと話をして繭にくるむみたいに大事に大事に出来なかったんだろう。大事にしたいと思っていた、大事にしていると思っていたのにどうして。俺はやっぱり自分が一番大事だった。都合のいいように話を聞いて都合のいいように言葉を返した。俺は嘘が嫌いだ。俺は思ったことを心に留めておくのが苦手だ。それでいて好みは細かいし好き嫌いは激しい。都合のいいように関係を押しつけていた。全て俺がそうさせた。
否。どうして大事に出来なかったんだろう、じゃなくて、どうしても大事にはしないと言った方が正しいのかもしれない。まるで悪びれたように述懐してみても、俺はそれを変えない。変わらない。変えるつもりもないに近い。元々俺がくり貫いた人型から飛び出した彼を、その本当の形を見て、拒否されて、それに収まる気がないことに最初に覚えたのはやはりと言うか怒りだった。今でこそ悲しみやら惜しむ気持ちはあるものの、だからと言ってケースを全て放って彼そのままの形を抱き締められるとは思わない、そもそもそんな度量がないからちっぽけな小細工を弄するんだ。今から振り返るとどうしても全てを疑ってしまって、それまで感じていた幸せなんかは全て忘却系の戸棚に一旦しまわれてしまって、恐らくは愛情ゆえに少しずつ受け入れてくれた彼をまるで嘘で固められた無表情な人形だったように感じる。いや…忘れてない、受け入れられることに強烈な愛情を感じた。本当に感じた。人生で一番それを感じた。一番って言っても日々のそれのことだから日々愛情を感じていた。だからこそ、受容出来ないと拒否されて本当にショックだったんだ。俺の方こそ甘やかしに甘やかされていたのにそれに気付かずに溺れきっていた。鈍感だった。まさにクソガキって言われても仕方ないな、今の俺も。この期に及んで変わる気がない。だって無理なんだ。彼にも何度も言われた、簡単に諦めるなって、諦めて成長しようともしない奴は嫌いとも。この結果が道理だ。
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