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9.806の誘惑
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19 :
普
08/05-00:08
兄弟の契りを交わしたとて。あいつが俺の全てを引き継ぎ、俺がいねェとあいつが存在しなかったとて。俺とあいつの根底は違う。姿形が其れを物語る。同じだが違う。俺が此方側に来たのは何時の事だったか。まだ彼の方が生まれてすらいない時だった。あの時、少し困ったように笑んでいた少年と出会い、現在に至る。誰もが忘れ去ってしまった名。まるで遠い異國の、黒檀の瞳を湛えた友人宅の制度のような関係。俺が俺で在り続け、現在もこうして自分という物が存在して居るのはあいつが其れを望んでいるからと言ってもいいんじゃねェだろうか。紅よりも固いモノにより結ばれ、存在の意味を問う。過去と現在の理由は変わった。幸福という物がひとつでない事を知る。違うが同じ。其の意味は在って無い様な物なのだと彼に教えられた。蒼い蒼い瞳の向こうに。焔のように揺らめいている。
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