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9.806の誘惑
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28 :
神≠聖
09/04-00:59
彼の子が口許を綻ばせる。纏う空気は春の木漏れ日の様に暖かで優しい。ささくれ立った俺の心から広がる痛みが何処かへと消え去るんだ。眉間に刻まれた跡が自然と解け、何時の間にか俺の口角も上がる。一時の温かさが心地好く、ずっと彼の子と居たいと願ってしまう。同時に少しの逢瀬でも構わないと思考。俺の住む場所は、彼の子の立つ場所とは異なっていて、其れに恐怖を抱く事は破滅へのカウントダウンに他ならないからだ。もし俺の起こす事象が、彼の子の場所を守る結果を生んでいるならば俺は其れで構わない。霞掛かった脳内からひたひたと歩みを進める者が居る。奴が現れる前に、彼の子の隣に立つ事が出来たならば俺は幸福だ。
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