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いつかの回顧録。
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298 :
英
08/29-22:29
夏の雨は、激しい。
hey、Siri、天気予報は一日晴天だと言っていなかったか。紫外線に気をつけて、洗濯物をよく乾かして、絶好のお天気日和ですからね、なんて。確かに聞いたはずだったんだが、さてこの窓を殴りつける雨はどうしたことか。
一瞬で家に繋いでくれるドアか、この際ワープ出来ると言う緑の土管でも良い、どうか濡れずに家まで帰れる算段を誰かつけてくれないか。びしょ濡れて帰ったところで、あの家にはもう慌てたようにパタパタとかけるスリッパの音も、柔らかくて温かいタオルも、廊下を濡らしたらちょっと怒るような声を上げる家主もいないのだけれど、それでも俺は出来るだけあの家をあのままにしておきたいんだ。いつかひょっこり彼が帰ってきた時に、うっかり家の中を覗いた時に、キノコの生えた家じゃ1秒だって居ついてくれないかもしれないだろ。
だから頼むよ、せっかくさした傘を取り上げないでくれ。それからさした傘を無視して風と踊りながら服を濡らすのもやめてくれ。ほら、困ったな、こんな靴もコートも色が変わっちまうような濡れ鼠じゃ家に入れない。
誰か助けてくれ。
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