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いつかの回顧録。
 ┗323

323 :
12/15-15:15

朝が来るのが怖い
夜の闇に紛れて、空気を揺らさないように息をして、そっと凌ぐようにやり過ごす人生に、朝の光を与えられるのが、怖い
光の当たった俺はちゃんと人の形をしているだろうか
恐ろしいほどに肥大した虚栄心と、自尊心と、猜疑心で、醜い化け物みたいになっていないだろうか
人の形を保てないなら、せめて美しい毛並みの虎がいい
そうして今日も、他者からの視線に怯えて毛布をかぶるのだ
夜が、明けない夜がずっと続けばいいのに

けれどきっと、あの人は日のあたる場所にしかいない
朝が始まる、美しい場所にあの人はいる

目も眩むような朝日を背負って、薄闇と混ざってグラデーションをえがく空を霞ませて、夜露を全部集めたような髪を揺らして、甘いミルク色の肌を染めて、柔らかな眦を薄桃色に染めて、俺を見つけて笑うだろう
夜が明けた世界には洪水のようにたくさんの色が溢れていて、そのどれもが彼を形容するための言葉になる
世界に溢れる美しいものは全部、彼のためにあるんだ


だから俺は今日も、裸足で世界に下りる
あの人に会いたくて、寒さと、怖さと、怯えを飲み込んで、歩いていく

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