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Forest Gump
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37 :
露
01/28-14:46
過去は時を重ねる度に美しく変化する。
たとえ辛い過去でもそう。辛い過去を振り返ってみても、喉もと過ぎれば熱さ忘れるという諺が示すように、終わった過去である以上、ちっとも痛くも痒くもないの。
過去に経験した悲しさ苦しさは鮮明には思い出せないものだし。何故って、過去よりも今生きる現在の方が強烈なものだから。
あまつさえ楽しかった記憶ばかりが強調されていって、その中にあったはずの悪い部分は消えていく。残るのは事実とは懸け離れた記憶。そうやって、よりいっそう美化されていくんだ。
今を辛いと感じれば感じる程、過去というものは美しく見えるんだよ。
けれども過去を振り返ることを僕は悪いことだと思わない。
追憶はくだらないことだって、それは幸せだった日々のぬけがらにしか過ぎなくて、僕たちを待つ輝かしい未来への冒涜なんだと…、人々は言うかもしれない。確かに過去のことを引きずって前に進めずにいるのは愚か者のすることなのかも。けど過去を全て忘却したあとでどうやって、新しい愛を囁けるのかな?僕はこう思う。
過去を振り返ってやっと、恋情だとか慕情だとか人には見えないものを語れるんだって。
見えないそれらは直接触れられない。追憶なしには正しい意味を求めたりできないんだと僕はそう思う。
昔の恋人に未練がある訳じゃないんだ。けれど出会った事を後悔したい訳でもなく、ただ今でも時折思いだすの。何時までも優しい思い出が後を引くよ。瞼を閉じれば、ほら。真昼の星のように瞼の裏でちかちかと眩く。いつまでもいつまでもそれは輝いて、一人淋しい夜は慰めてくれる。そして、あの子のもとへと導いてくれるんだ。
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