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┗Forest Gump(108-112/152)

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112 :
03/26-06:00

皆、人魚姫を可哀想って言うけど。…そうなのかな?私は羨ましいけどな。もしも失恋しちゃっても、リアルじゃ辛い明日が待ってる。それならいっそ泡になってしまいたい!
恋って人を臆病にするよね。恋愛に限らず、あの子に嫌われちゃうんじゃないかって、ビクビクしちゃう。…でもそれって好きだからなんだよね。

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111 :
03/25-01:12

テレパシーでも使えたらいいのに。そしたら自分のややこしい気持ちも説明せずに済むのに。あの子が自分の事をどう思ってるのかも分かるのに。なあんて。でもやっぱり、自分の気持ちが伝わっちゃうのは困りますね。きっとあの子にもあの人にも嫌われちゃいますから。相手の気持ちだけ知っておきたい。なんて、なんて。私、狡いっすね。

***

うおっ、踏まれてしまいました!
なんつーかこういうのも久しぶりなような気がします。

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110 :
03/23-15:52

悪い夢が日々を蝕むよ。最悪な結末ばかり示唆して。――ずっと逃げ出したかったの。裸足の足がとても痛くって。此処は私の場所じゃないって、こころがそう叫んでたの。きっと、誰でも良かった。此処から掬い出してくれるなら。ねえ、早くキスしてね。悪い夢から醒めないよ。

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109 :
03/23-15:50

止めて下さい。わたし、貴女が思ってるような素敵な子じゃない、です。嫌な、子、です。

(嘘を付きたくないのは嘘を付くと口の中がまるで砂利を噛んだみたいに不愉快になるから。ただ、それが嫌なだけ。そして周りの人達に良く思われて生きていたいとそう思っているから。いつも人の目を気にしてる。ねっ、ちっとも良い子なんかじゃないんです。時には自分が傷つきたくないからって、大好きな子が泣いてても知らんぷりだってしてきました。誰かに傷付けられたら、その誰かが自分が傷付いた分だけ傷付けばいいとも思ったりもしました。理由なしに人に優しくだってしません。そうやっていつも自分が好きなように生きてきたんです、私。自分勝手な子なんですよ。そして嫌な子。知ってました?)

貴女が私を好きだって言ってくれた日、私は貴女を傷つけました。
言葉はナイフよりよく切れるってこと、私は知ってた筈なのにな。私はそんな風になりたくないって思っていたのに。
もう傷付けたくないって吐き出した言葉が、ナイフになって、貴女の心に突き刺さりました。
その日私は嘘をつきました。少しだけ口の中が酸っぱくなりましたけど、辛い心から逃げる為だけに嘘をついた。
そしたら、私が傷つけた貴女の心が血を吹いたみたいに、何でか、私の目から涙が溢れたの。

……だから、止めて。他の人なら聞き流すことも出来るけど、貴女に言われたら、私、泣いちゃいそうですから。

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108 :
03/23-15:35

校内でも1番高い塔の屋上は普段は授業以外立ち入る事を禁じられている。けれども、先日の天文学の授業の際に教授の目を盗んで細工をしていた為、易々と忍び込むに成功した。窓辺の直ぐ側に腰掛けて、春の星たちがいっぱいに輝く空を見上げる。先ず目につくのは、春一番を告げる星座である北斗七星。まるでひしゃくのような形をした北斗七星が、春先の宵にひしゃく一杯に貯えた春の香りを地上に降り注ぐような形で、北東の空高くで輝いている。それを見て、まるで眩いものでも見るように目を細めた。
「…あーあ。授業サボちゃった。明日、皆に怒られるかなあ。」
今日授業を休んでしまった事を悔やむその表情は暗い。目元は泣いた後のようにうっすらと赤く染まっている。春先とは言え夜はまだまだ冷え込み、吐く息は白い。凍える手を温めようと手を擦るも赤くなるだけで、息を吹きかけてみたところでちっとも効き目は期待出来そうにない。何処か呆れたようにため息を付き、一度手元に落とした視線を再び上空へと戻した。

昨夜の事を思い出す。
優しくて、可愛くて、儚げな――ひとりの少女のことを。

ある目的の為に昨夜は禁じられた森に行った。その森は常々教授から行ってはいけないと聞かされていたが、それでもその森へ行かなければいけない用事があった。もっと言うならば絶対に人が来ない場所へと行かなければならなかった。――それがまさかあんな事になってしまうなんて夢にも思っていなかった…。
校則を破ってしまうことへの罰悪さと森の生物に襲われるのではないかという不安を感じながら森へと入る。そして人気のない奥地へと来ると安心したように一息付いた。この場所なら余程の事がない限り人が訪れる事はないだろう。安堵から身体から力が抜け、そのまま一本の大樹の幹に凭れ掛かる。他愛もなく上を見上げると視界には膨らんだ蕾みが飛び込んで来た。春の訪れを実際に目の当たりにして、目を瞬かせる。春が来た。ただそれだけのことが嬉しい。しかし少しづつ春らしくなって来たと言えども夜はまだ冷え込み、息を吐けば白く染まる。これはさっさと用事を済ませた方がいいな…、そう思った次の瞬間のことだった。
「どなたですか?」
時折木々のざわめきやよく分からない生き物の鳴き声が聞こえたが、それも微かなもので森の中は静かだった。その森の静寂を破るのは少女の甲高い声。震えているものの、その声は良く知った少女のもので。……誰も来やしないと思っていたのに!瞬時迷いが生まれる。が、それを直ぐにかき消し、相手の前へと姿を現し――。

(略)

目の前の青年が取り出したのは一冊のノートだった。もしかしたら危険な物を持ち出してくるかもしれないと警戒していた為、ポケットから取り出されたノートに目を丸くする。しかし直ぐに何のつもりかと言わんばかりに青年を睨んだ。
「これは彼女の日記帳だよ」
すると返ってきた答えにまたも虚を突かれる。予想外の返事に唖然とする。けれども背後から聞こえて来た声にハッと我に返り、改めて青年の手にあるノートまじまじと見つめる。こくりと喉を鳴った。
正直に言えば少女のこころを覗きたい、彼女が自分をどう感じているのか知りたいが――、良心の呵責が青年の悪魔の様な囁きに頷く事を邪魔をする。yesともnoとも言わず、何処か悲痛そうにも見える険しい顔をしてノートを見つめるだけだった。

なんて、そんなのは建前だったの。彼女にどう思われたいのか気にしていただけだ。出来る事なら彼女に良く思われていたい。いや、彼女以外の人達にも良く思われて生きていたい。そう思っていた。
だからこそ?だからこそ、目の前にあるノートが気になった。彼女にどう思われているのか、その事を知る事が出来るというなら。
私ってば、――最低だ。

背後に居る少女が何か言っている。自分の肩を掴み、自分に何かを伝えようとする声はとてもか細く聞き取る事は出来ないが、きっと日記を見ないでといった内容だろう。彼女が必死に何かを訴えようする合間も視線は日記に向かう。彼女の方を見ずとも彼女の浮かべている表情は想像は付いた。きっと、彼女の事を考えるならこの誘いに乗じるべきではない。そうは思うものの、思いとは裏腹に青年の囁きに最後まで肯定も否定もしないまま、青年の手にあるノートを請うように無表情で手を差し出して。

ああ私、最低な事をした。
赦されない事をしてしまった。

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