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ジゼル
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05/21-22:56

  作っては消すことを繰り返したり、唯でさえ短いページを破ってぐしゃぐしゃに丸めて捨ててみたりして過去を清算しようとしてみたけれど、結局この貧相な肩の上に乗っかったモンの中に全部詰め込まれていて、それらは同じように消すことができない。時の流れが全てを解決してくれるでしょう、と黒髪の友人が言っていた。友人は俺よりずっとか長く生きていて、以前にはその歴史に触れてみたことがある。その時は分かったような振りをして聞いて、同情していることを示すように表情を変えてみたけれど、結局は何も解っていなかったと知ったのはつい最近だ。漸く解ったことを、友人に少しでも歩み寄れた気がしていることを、嬉しく思う反面、言いようのない、混濁とした感情が靄のように思考を眩ませる。それでもその靄を晴らそうと懸命に振る腕は、同じような経験をしたであろう友人を思うと、決して弱々しくなることはなく、除々に消えて行っている。それと同時に、記憶も少しずつ消えて行く。宝物のように守っていた大切な記憶であっただろう。過去の俺に謝罪を告げながら、そうして俺はまた日記を手に取ってしまった。書く内容が何もないだろうことは容易に想像できるだろうに馬鹿なことをするものだと嘲笑っているのが過去の俺で、何かしら書き付けるべきことに遭遇するはずだと希望を抱いているのが現在の俺なのか、あるいはその反対なのか。どちらにしろ、全ては俺が俺の為に書くものだ。

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