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┗
ジゼル
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58 :
英
10/14-23:00
唯必要とされたいだけだ。何かに。誰かに。俺は此処にいてもいいのだと、言葉でなく、行動で示されたいんだ。俺を繋ぎ止めて、俺を求めて、そうして、俺を愛して。
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風を冷たく感じるようになって、また冬が迫っていることを知る。何度となく繰り返してきた冬。一人で、そして二人で、孤独に、あるいは寄り添って、過ごしたあの冬とこの冬と、数え切れない冬。いつか寄り添って過ごした彼奴らは今どうしているのだろうと、感傷的な夜を過ごす。
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あの瞬間を今でも鮮明に思い出す。信じていた。期待していた。独りよがりの愛を拒絶する小さな穴。俺の愛の歪さは、あの頃から変わりはしない。
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向かい合って食事をする時。目の前の男の細く長い指がナイフとフォークに添えられて、切り分けられたものを口に運び、咀嚼して、飲み込む。嗚呼、あの指が俺の体に触れて、全身をまさぐって、中を奥まで暴かれて、そうして、あの口の中に飲み込まれたら、なんて。いつも通り会話を続けて平然を装いながらも熱くなりつつある中心に目を逸らした。こんな時に欲情するなんてどうかしている。好きでもない男だ。ただの友人。相手がいるという話を聞いたことはないが、一夜の間違いを犯そうという気なんてさらさらない。そうだ、最近感傷的な夜を過ごしたからに違いない。どうかしている。最近彼奴と会っていないせいだ。彼奴に会わなければ。
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