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懐中仕掛けのファフロツキーズ
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26 :
米
08/16-21:47
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もうすぐ冬がやって来る。吹き荒ぶブリザードが大/陸全てを飲み込み、全てが悪魔の様な白に閉ざされる俺にとってまるで無間地獄の様な冬が。そんな厄介でしかない寒波が押し寄せる警鐘にもへこたれず、沸き立つ人々の歓声がファンファーレ宛ら道並ぶ家々を灯す明かりを一層暖かくしてくれる。そんなお祭り。
何時もなら俺も皆と交ざって道行く人々から貰ったお菓子を頬張りながら温かくて賑やかな一時を目一杯エンジョイして。そして色とりどりのキャンディーやクッキーでいっぱいだったバスケットの底が見えた頃には、カレンダーを捲る現実に一抹のうら寂しさなんてヤツが一緒に込み上げて来るものだ。けれど今年のハロウィーンは一味違う。何だかそんなハッピーな気分にさせてくれるのは、今、俺の家のドアベルを鳴らした存在が大きい。家主を急かせる意味合いが混じった二度目のベルが鳴らされる最中、逸る気持ちを抑えてお手伝いさんが磨いてくれたピカピカの廊下に滑っ転びそうになりながら、俺は急ぎ足でドアノブに手を掛けたんだ。
「やあ、遅かったじゃないかアーサー!待ちくたびれちゃったよ。ごめんは良いから代わりにお菓子を上乗せにするんだぞ!」
ガチャリと独特な金属音を響かせて重たっくるしい頑丈な扉を開けて、真っ先に俺の目に飛び込んで来たのはまさに焦がれて止まない俺のお菓子を両手いっぱいに抱えた待ち人だった。ただ一つだけ違った事は待ち人の纏う奇天烈全開とも呼べる自らのオプションによって、焦がれる想いが跡形も無く吹き飛ばされてしまったアクシデントだった。
今思えばランタンの灯火とは明らかに違った形容仕難い白金の光がドアの隙間から漏れ出ていた事に、どうして不審に思わなかったんだろうと後悔したのは言うまでも無いかな!
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