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┗懐中仕掛けのファフロツキーズ(46-50/80)

|||1-|||書込
50 :
10/08-16:03

自分の胸中に籠る得体が知れないモノを外界に顕現させる手段は何も言葉だけに独占されている訳じゃないって云う示し方については、誰だって心の奥底では身に沁みる程には解っているはずなんだぞ。それなのに、だ。その言葉ってヤツが無い事には、肝心の胸中を理解する手立てが事実上無いのと一緒って訳に落ち着いてしまうんだ。この矛盾、君はどう捉えるつもりなんだい?
この悩み、と言えば良いのだろうか。ちょっとばかりの語弊には眼を瞑っておこう。話の腰が折れて出鼻を挫かれるのはゴメンだからね。兎に角俺がこんなファニーな問題にぶつかってしまったのは何も今回が初めてが理由で戸惑う程、俺はもう若くは無いって事だ。何しろこの問題は日常の至る所からひょっこり姿を表しては俺を苦しめ続けているんだからね。その都度俺は一度も根底からの解決に到らないまま記憶の片隅に無理矢理追い遣って全てを無かった事にしていたんだ。所謂後回しってヤツさ、ヒーローだって合理的じゃない理屈に傾倒するぐらい熱血出来る保障なんて無い。けれど間に合わせの閂を挿し入れた蓋なんてモノはどうせ近い内に綻びが生まれ外れちゃってしまう。巡り巡って再び空いた蓋の隙間から這い出た問題は、今回も俺の健全な思考を徐々に蝕んで往った。

その蓋が外れた原因の殆どを占めるのが近頃のアーサーの言動だって事までは判明しているんだぞ。うん、だからと言って何もかも全部あいつが悪い訳じゃ無いんだ。蓋を開けてしまったのは何を隠そう俺自身なんだからね。その辺の経緯をもう少し詳しく説明する必要は確かに有るかもしれないけど、現時点では黙秘権を行使させてもらうとするよ。ただ一つ言える事は、蓋が外れた要因はアーサーの言動で、アーサーが生じた原因は俺の言動…そう、つまり俺自身が蓋を抉じ開けてしまった事になる。詰まる所、アーサーは俺のミスに巻き込まれただけなんだ。あいつは何も悪く無い、それだけはハッキリしている。だから俺は、自分が出来る限りの穴埋めという作業に没頭した。アーサーが発生させた不安という名の切っ掛けを取り除く作業をね。
そして現在、表面上では粗方修復出来たかもしれない。けれど肝心の根幹部分が幾ら拭っても染み着いた血痕の様に消えてくれないんだ。アーサーは俺と一緒に居る時は不安が解消されている、そう信じている。そいつと同時に、例えその信頼が成り立っていたとしても離れて、寝て、明日になればそんな痕跡なんて一切合切存在しなかったんだって次の日のアーサーの豊か過ぎる眉毛を八の字になんて下げた顔で切実に訴え掛けて来るんだ。あいつ自身はこれ以上俺に迷惑を掛けない様にって必死に押し殺しているつもりなんだろうけど。そう云う所、まるで何時かの俺みたいで何も言えなくなるよ。

まあそもそも不安を解消させる為の中々イカした提案ってヤツに転じてみても尚、助ける側の俺にまで不安要素が沸々と湧き上がって来るのは何故なんだろう。俺は一連の騒動の一端となっている切っ掛けをピカピカに払拭させる術を出し惜しみや況してや捏造なんて事は何一つやっていないぞ。その場凌ぎの解決法だなんて以ての他だ。だとすれば、どうしてこんなにも次から次へと全く同じ不安が生まれるんだい?やっぱりこの問題は、一生解決なんてしない代物なのかい?俺が間違っていた、そういう事になっちゃうのかい?ミイラ取りがミイラになったゃうだなんてギャグにもならない寂れた結末、ヒーローに相応しくないぞ。可笑しな話だよ、まったく。
いや、違う。そうだ気付いた、気付いてしまった。この得体の知れない不安は、あいつだけが抱えるモノじゃ無かったんだって。解るかい?俺も君と同じ、若しくはそれ以上かもしれないって程どうしようも無く不安を募らせているんだよ、アーサー。だから、時期が来れば二人で一緒に蓋を閉めよう。……え?それだと俺がプラスマイナスでタダ働きになっちまうだろうが、だって?何を素っ惚けたクレームを寄越してくれているんだい。君と俺は一蓮托生、そう思うと悪い気はしないんじゃないかな。今度は俺も最後まで付き合うからさ。だから何時までもいじけてないでさ、好い加減機嫌直しなよ、おっさん。

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49 :
10/08-04:54

謙虚と卑屈、遠慮と妥協、その他各々の境界線が曖昧のまま放置していた皺寄せとでも言いたげに、押しては引いての堂々巡りにドハマりしちまってやがる感が拭えねえ。
「甘えない。求めない。期待しない。」恋人同士が波瀾無く日々を円満に過ごす為に最も必要不可欠である心得が、この三位の否定系に凝縮されているのは過去の手痛い経験の数々から十二分に熟知している。少なくとも俺が知る限りでは、恐らく最も手頃な処世術とも言えよう。世間サマは平素の恋愛に於ける最大の醍醐味を軒並み棄て去ってまで得られるモノは一体なんだのだと鼻で笑われるかもしれない。だが、そもそも俺には健全且つ真っ当な恋愛を楽しむには程遠い思考回路を所持してしまっている手前、こんな馬鹿げた発想に落ち着き両者間の帳尻を合わせる事で、どうにか最小限の摩擦で抑えてんだよつった俄か仕込みのガキ臭ェ反論で蜂の巣にする準備は既に整ってるぜ。

寵愛、俺の愛し方を一言で著せばこれ以上相応しい言葉は恐らく見当たらないだろうと思う。恋慕を揺する対象を完全に俺自身へ内包してからスタートする恋愛活劇。俺と云う個体を受け入れてくれるだけで満たされる、俺が注ぐ情念を一滴残さず掻き抱いて全てを受け入れてくれる事が何よりの見返り。溺愛と称するには些か無理が祟る緊縛にも磔にも似た偏向甚だしい愛情表現。向こうに相応の対価を必要としない点だけを注視すれば一見ボランティア精神の究極形にも聞こえるが、裏を返せば俺から発する貴賤に遍く情念を拒絶する一切の権利を相手から剥奪しているとも換言出来るタチの悪さが同居してやがる。受け皿に対して一滴足りとも溢すな、俺とお前の思慕のベクトルを合わせる行為すら許さねえと。万人受けする温もりを与えながら同時に身の毛をも弥立つ脅迫を行使する、子供沁みた我儘を覚られずに済ませる為の最低最悪なカモフラージュ。だからと云ってこのカモフラを乱用している俺自身は風切り羽根を毟った対象を、主人に愛玩される為に生まれた犬猫の様に飼い主よりも下位に属するモノと無自覚の内に嘲ったりだとか、況してや己に都合の良い使い捨てのラブドールとして粗雑に扱っている訳では決して無いとだけは言い切れる。けれど矢張り何処か、いや、何処を取っても可笑しいのだとも身を持って実感している訳で。どうにかこの喜劇のネタにも成れねえ現状を打破したい。だが今更自分の身の内に巣食う始末に負えねえ性癖を矯正するのは困難だと諦めた。そして往き着いた先がドン詰まりからの瓦解役に冒頭の三連符を名指ししてるっつう難儀が、既にマトモな精神状態じゃ無ェとイヤと云う程に思い知って嫌な気分に浸れて本当に笑える。

忘れたくても忘れられねえあの日。何ら代わり映えのしない自慰行為っつう時点で既にボロ雑巾と化していた俺に標準を絞り、普段の情念に置き換えた追い打ちを掛ける拒絶を、三連符をチラ付かせた刹那に御披露目されたんだったか。全てを包括したつもりでいた傲慢さに加え受け止めるスキルの浅さから、思わず反射的に拒絶を受け入れた瞬間は流石に脳内が白から透明に塗り潰されただけだったが、後々頭を働かせば浮かんで来るのは酸いも甘いも一緒くたに、それでも許容の手を休めない受け皿に与えられた役割が如何に崇高で無垢な貧乏クジなのかと云った疲弊を伴う新たな発見と、そんなボランティア活動とは露知らず相手に無理強いをさせてしまっていた大失態に今日まで気付けずにいた後悔と自己嫌悪。人格者を指す言葉に器のデカさとは成程、良く謂ったモンだな。
特に感心から漫ろ流出た反省と自戒っつう訳でも無ェが、あの日を境に当分の間は本来の意味で紳士的な「甘えない。求めない。期待しない。」三つ全ての符丁を貫こうと腹を括ったアフタヌーンティーの名残。木漏れ日が眦裏を射す倦怠感は、意外に心地好かった。

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48 :
10/04-01:22

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自然の摂理をチェス盤。時の流れを指し手とするならば、果して戦駒は何れに該当するのか。仮に動く物全てを駒に例えたにしてもだ。チェス盤の一部でも存り、指し手の介入から半分程度溢れてしまっている自分は、所詮何物にも該当しないジャンクパーツでしか成り得ないのか。思慮の大海原へと旅立った所でマイナスしか獲られないと理解していても、ついつい無根の収穫を求めてしまうのは、自分と同じく不良品の扱いを受け徒に彷徨している記号である御同類サマの所為だと難癖の一つでも寄越してやるとしよう。
対面者の機嫌を著しく害わせた所で、特徴的な音階とアクセントが混じる罵声を子守唄に、俺は再び目蓋を閉じた。

さて、ここに人生と記された一冊のルールブックが手元に有る。勿論、俺が手にしているのは幾重にも簡略化されたレプリカだ。
そもそも原本は無形で然るべき、いや、人間が原本と言えば原本になるのか。そして多少の語弊は生じるが、曲なりにも人間と互換性を伴うこの身も例外では無く、自我を啓発させた瞬間から課せられる忌々しい蛇足しか無い戒律を、五感の隅々に至るまで根刈り、解離させ、滅却したつもりだろうと、下ろし立てのクラバットに浸潤した血痕の様に意識の合間を縫いながら癒着して離れない。既に百の大台を何度数えたか解らない程度には地に足を着け呼吸をする俺以上に、移ろう時代に呼応するかの如く様々な質感に変貌する何時だって真新しく古ぼけた没義道でしかないマス目を、既に横紙すら破り尽くしたルールブック片手に、時には豪奢な革靴で、またある時には血と泥で化粧された貧相な裸足を晒し、慎重に指し手と歩調を合わせながら、幾重にも道亡き道を渡り跨いで来た。
そんな勝手知ったる俺ですら、退っ引きならねえそいつの悪逆っぷりには付き合い切れねえと一マス進む度に疲弊するってんだから、俺と歩幅を揃わされた人間達にとっては尚の事マイナスの要素でしか無いんだろう。だが事実を加味した上で、國と足並みを揃える行いを善しと明確に記述されている無駄に分厚い綴じ物を培い、育み、今日に至るまで慈しんで来たのもまた同じ人間な訳で。
この矛盾点に関しては、文明や人種の差異など何処吹く風と一貫してコトナカレ主義から微動だにしねえ奴等が中々面白く、時折壇上外から発破を掛けて眺めていたモンだ。横遣り曰く、道理から外れた悪趣味な退屈凌ぎだと苦言を呈したい気持ちは痛い程理解している。然し、限り無く人間に近しい容貌を纏いながらも完全な人間に成り代わる選択肢を授与されず、挙句、クニとヒトではゲームに対する解釈に埋められない溝が存る事実を双方共に了解している不幸中の幸いと胸を撫で下ろした一瞬の虚を突かれ、人間と同等の物差しで見聞を広める苦行を有無を言わさず強いられてしまった末路を拭う救済策。それがこの哀れな紳士の細やかな道楽なのだとどうか目を瞑って頂きたい。

話は逸れたが、時代と云う尺度で著せば丁度、大層なコトを仕遂げた勢いに乗じ、蟻の一穴が空いた堤程、頑健さに欠ける紛い物は無ェ事実を証明せんと、定められたルールに一石を投じる不逞の輩も、中には当然方々に存在した。無力な奴等は精々漏らす程度が限界だった様だが、まあ当然と言えば当然か。
不平不満をエネルギーに転換した勢いを借り、先人達の厳かな字面の集積体を上書きする荒行に躍り出る奴なんて極々少数。善悪の境界線さえも曖昧のまま放置されて久しい無秩序を収束、律する為のみに、幾千幾万に蔓延するモラルを取捨選択と切り貼りを往復し、言語と云う伝達網を借りてそれら一切を取り纏めた先人達の努力の賜物。その様な知識の結晶を今更根幹から覆すなんざ、並大抵の編纂能力を備えた偉人でければ務まらない。以下は愚者が紡ぐ粗雑だらけの絵空事に過ぎねえ。ならば普段は怠惰を自負する愚者の面々すら血沸き肉踊る変革期とは一体どんな局面だったか。更なる暗中模索に頭を痛め眉間に皺を寄せる自虐行為よりも先に思い出せたのは、目の前で怒りに震える見慣れた佇まいが寄越す、典雅とは一線を画す独特の刺々しさを多分に含めた彼の間手より他ならない。
ああ、その面構え、皹割れたエメラルド宛らの憎悪を反映させた双眸。お前も俺と同じく確執の泥濘から脱却出来ずに藻掻く雛鳥だったよな。当時では懐く予感さえ遮断されていただろう同業の念が血中に往来するアルコールに姿を変え、違法なドラッグが齎す効果で脳細胞を死滅させて逝く。気丈がトぶ自らの有様を跨いだ先に視えたモノ。束の間の道程を歩む終着点は辺り一面真っ暗だった寸前が嘘だったかの様に、視神経を伝導体として鮮明な映像を押し付けた。

気色が網膜を灼く。青白が、恋しくなった。

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47 :
10/02-12:45

明瞭さに欠けた年表を手探りのままに遡り続け。確か盤上の殆どがまだ白波の紗で区画された水面だった当時、虚飾の一点無く動く物全てが戦駒だと万感の意に身震いするのが当たり前だった記憶が脳裏に甦る。
剣戟と砲弾が交差する華々しさに満ちた中でも俺は駒の一つに扮していただけの半端者に過ぎず。感受性を揺り起こす起爆剤に抜擢するにも、矢張り俺と云う未成形のポーン如きが出張るにはスペック面から見ても単純に役者不足でしかなく。全てのモノに等しく降り掛かる現実が、まるで俺の肩口にだけ圧し掛ける不平等に喘ぐ錯覚に陥れ、無様に苛まされ続ける苦行を強いた根源でもある英/国の御旗を相反する同じ御旗で慰めた瞬間だけは、俺が此処に居ても良い赦された異物であるのだと証明する、そんなインクが滲んだ免罪符を寄越されたんだったか。その免罪符も奴の手によって目の前で破られたんだが、在ろう事か俺に絶望を突き付けた張本人が、俺の手によってメチャクチャに蹂躙された敗者だってんだから、実に笑える話だが流石にブラックユーモアにも成りやしねえ。
異なるポジションを統轄する同質物がポーン以下の下郎に成り変わる展望に異様な興奮を覚えたと同時にポーン一つ潰した所で奪胎の気振りすら渋る現実に軒並み倒錯的快楽を駆逐され、音程を忘れたカナリアを彷彿とさせる金切り声で喉を潰した形容仕難い辛酸。味気ない駒の造形を誤魔化す名目で、栄有る翳りを帯びた状態で戴冠されたエメラルドが、初めて間見えたその時から手中に収めたくて仕方が無かった深緑が、無用の長物とばかりに自らを彩る装飾と勲章を剥ぎ取りガラクタ扱いに処する暴挙を目の前で見せ付けられ。なあ、俺の気持ちが解るか?戦利品を物色する愉悦さえも赦されず、不愉快な劣等感の残滓のみを延々と咀嚼する道標を示された俺の気持ちが。

忌々しさを腹底に押し留めながら幾瀬幾歳。
お前は厭味すら感じさせるこの等間隔に区画化されたフィールドの上で日々を謳歌している自覚は有るか?昨日は白で今日は黒、明日は何方を踏めるんだろうな。あわよくば控え枠で爪を噛む陥穽に知らず内に没落しちまったオチをゆるりと堪能した直後だと直訴でもするってのか?タイヤのブレーキ痕蹟で地膚に不名誉な紋様を刻み込まれたアスファルト製のボードか。はたまたフルギャロップの小気味の好い蹄音が道行く人々の鼓膜を叩く度に削れて行く石畳製の汚ならしいボードか。どちらにしろ消化試合も甚だしい独壇場に生き落ち脚を根生している以上、チェックメイトを声寳かに宣言出来る瞬間なんざ永久に来やしねえってのに御苦労な事だ。ま、どうせ逃げられねえ退屈だ。お前の遊びに付き合ってやる傍ら、本当に居るのかすら怪しい天寿の名札を掲げた物言わぬ主審に水を差されるまでは、喜んで空席が目立つ副審の真似事でも務めさせて貰うとしよう。
然し所詮真似事は真似事。チェス一式全てを掻い摘む形から内包してしまった所為で、何れのパーツにも組み込まれず舞台上から爪弾かれてしまい蚊帳の外を絶讚満喫中の俺としてはだ。自身の鬱憤を晴らす為を口実に、長きに渡り編纂されてねえルールに従い只管ひたすら駒を指して奪って、奪い尽せばシメの合図として盤上ごと引っ繰り返し、舞台上から御退場願われたモノを集め直す独り遊びにも、次第に飽きが来てしまった訳だ。この単調甚だしい作業の連続が日常の大部分を占めると主張するのなら、俺の精神は壊死を跨いで既に風化の一途を辿っている事だろうに。だが溢れ者は溢れ者なりの責務がきちんと有るらしく、どうやらパーツの大部分を占める人間に対して興味を失せさせない為に、俺と外見をシェアする人間を分け隔て無く愛する一方で畜生と剪定し踏み躙る作業さえも本人の意志関係無く、いや、左右される不手際無く行使出来る様、限り無くヒトに近いプログラムが血肉に組み込まれているらしい。信条でもあり単なる暇潰しでもある点を考慮すれば、然して否定するべき事柄でも無ェんだがな。土地の歯車を人間の漕ぎ手によって循環する國としての昇華は正しく刹那的だ。
空っぽになった要素を別の何かで補う行為に没頭するのは、一/国として正しい選択なんだろう。或いは個が持ち得る偉大なる要素が枯渇してしまう現象を遮断する為に、別の何かの欠片で穴ボコだらけの大部分の隙間を丁寧にパテ埋めする手も、応急措置としては中々の有効手段かもしれねえ。その岐路は何方の道標も正しい。そう答えるしか無ェ程度には、的確で面白味がまるで皆無な挙句、安物の鏡合わせの様に滑稽じゃねえか。無論、俺の存在自体がな。

お前だってそう思うだろう?カリエド卿。世/界の道理から除外された御同類サマのクセに素知らぬ面してんじゃねえよ。
それよりもお前が今日まで宝の持ち腐れにしているそのイニシアチブ、好い加減手にして然るべきな俺に寄越せ。

[][][]

46 :
09/28-19:12

#「お前、それなんて言うか知っとるか」

ああ、とうの昔に解っていた。
イニシアチブなんか、ルールブックなんか。各々を統べる人生を賭けたゲームなんざ、所詮は裸の王様が裸に気付いた現実に、咽び嘆き狂った出涸らしが生み出した妄執の産物に過ぎねえって事ぐらいはな。指し手が摘む指先の流麗さを妄信的に乞うた日々すら、俺達が人間に摺り寄り過ぎていた因果への応報だったと自嘲の鍵合わせに成功すれば、馬鹿馬鹿しさで情緒の一つすら懐かなくなる。
惜しむらくは、深く沈む玉座を象徴する二極を冠するペリドットとエメラルド、いや、エスメラルダに埋没された焦がれる様な追憶に触れられれば良いのにと、そんな御大層な夢物語に溺れた俺のナリをしやがった過去の遺体にかまけちまった悪循環。世/界のほぼ全てを掌握した俺と、大切な一握りの國を手離さなかったお前と、今になって気付く、軌道修正すら叶いそうも無ェ程に深刻化しちまった、双方に於ける歴然とした軋轢。
だが今となっては、嗅覚を擽る潮の香りがどうしようも無く恋しくなった事実だけ一致すれば、それで。お前と?ああそうだ。俺があの日から欲して止まない、お前と。

#「『無いモノ強請り』」



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#CONNECT.//>>0,000048,47,46

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