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Affoga e squaglia.
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74 :
南伊
08/01-01:17
所詮は砂の城だったんだろう。
呆気なく簡単に壊れてしまう、まやかしの幸せ。
ただそれは、あまりにも脆かった。それだけの話だ。
お前の目に入る可能性なんてきっと著しく低いのに、それでもこうして綴ってしまうのはどうしてだろう。
吐き出したいだけか、ナルシシズムの一環か。
…ああ、一縷の望みに縋りたいんだ、きっと。
一人でいると色々と持て余しちまってどうしたらいいのか分からなくなる。
なあ、アントーニョ。お前はどんな夜を過ごしてる?
一人で気ままにやってるのか、…それとも。
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嫌いな所だって確かにあった筈なのに、今はそれすらも愛おしく思えるんだ。
考えれば考える程、ああ、お前じゃないとダメなんだと身に染みて仕方ねぇ。
胸の一番真ん中、大きく抉れた傷がズキズキ痛む。
アントーニョ、お前が攫っていった俺の気持ちだよ。
なあ、元には戻れないとしても、それは返してくれねぇかな?
お陰で余所見も出来ねぇんだ。
お前を吹っ切る為のきっかけすら掴めねぇとかどうすればいいんだ。
許可も無く勝手に持ってくんじゃねぇよ、…ちくしょうめ。
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お前だけにずっと囚われていたかった。
お前さえ居てくれれば外の世界なんて知らなくても構わなかった。
いつだったか、首輪を着けてくれると言ってたな。
とうとうその夢は叶わなかったけれど…本当に繋がれたって良かったんだ。
愛する人に身も心も囚われるなんてこの上ない幸福だ。
そしてそのまま二人過ごして、最期の時は共に朽ちていけたなら…。
今となっては万に一つも叶わないだろう、儚い夢だった。
叶わない。
分かっているのに、それでも想うことを止められないなんて、俺は。
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