猫とバタートーストと仙人と俺。

8 :香
01/04-23:52

俺の日記帳はまだ薄くて、あっというまに読み終わっちまって退屈あるとか何とか言って、
ページを遡って遡って遡って……他の人たちの日記をあれこれ読み耽ってる先生なう。

で、最初は楽しそうに読んでたのが、なぜか段々と眉が下がってったかと思えば、やがて難しい顔で唸り、ついにはガバッと顔を上げて俺を呼ぶ先生。
>「小香！」
はいはい、何スか。どうしたんスか。

>「この世には神も仏もねぇあるか。
>　こんなにも仲睦まじく幸福であった比翼の鳥が、何の因果で片翼を失わなくてはならねーあるか。
>　相手の國はこんなに健気に愛して信じてずっと待ってる情人を置いてどこ行っちまったあるか。
>　何故すれ違っちまって分かり合えねぇまま、どうにもならねぇ思いを抱えて生きるしかないあるか」

……いや、んな事言ったって、人様んとこにはそれぞれ事情ってのがあるもんだと思うっていうか。
そもそも先生はたかだか昨日今日に覗き見しただけの完全外野で、知り合いですらないっしょ。
第一、とかく國生はままならねぇある、って先生いつも言ってるじゃないですか。
それを何も知らないくせに、遥か遠方の恋愛模様の顛末に鼻息荒く憤るなんてナンセンス……

>「そんなこたぁ分かってるある！
>　ものの道理は承知あるが、つい自分を重ねちまって遣り切れねーある！」

あー。
これはアレか、同情とか義憤とかそういうんじゃなくて、単なる都合のいい自己投影か。
ホラ、落ち着いて下さい的な。いい歳してみっともなくボロ泣きしてるとこ写メりますよ。

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